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宅配便で手紙が送れない理由とは、規制改革会議の議論で規制緩和の動きか

2013年07月11日 23時05分 JST | 更新 2014年06月06日 22時03分 JST
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A Japan Post Co. post box stands as a woman enters one of the company's branches in Tokyo, Japan, on Wednesday, June 19, 2013. Japan Post Holdings Co., the biggest holder of the country's debt, appointed Taizo Nishimuro president today. Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg via Getty Images

宅配業者はいつまで「手紙」を扱えないのか? 規制改革会議の議論をどうみるべきか

宅配便で手紙や書類を送ろうとして、拒否されたことのある人は少なくないだろう。手紙や請求書など書類の多くは「信書」とされ、配達できる業者が法律で厳しく制限されているからだ。政府は6月、規制改革会議の答申を受けて、この法規制について再検討を始めた。

信書の取扱いについては2003年に民間参入が認められたが、いわゆる郵便サービスである「一般信書便事業」に参入した民間事業者はまだおらず、日本郵便の独占状態になっている。その理由については、全国10万本のポスト設置義務などが、事実上の参入障壁になっているからだ——という指摘がある。

総務省はこれまで、営業を自由化すれば、採算性の高い地域だけで営業する「いいとこ取り」が発生したり、通信の秘密を確実に保護できない可能性がある、などと説明してきた。一方、宅配・運送業者は「既得権保護だ」「何が信書にあたるか、わかりにくい」などと規制緩和を求めている。

規制改革会議の答申は、今年度中に結論を出すことを求めている。はたして信書規制の行方はどうなるのだろうか。議論のポイントと展望について、郵便法にくわしい一藤剛志弁護士に解説してもらった。

●新規参入が厳しく規制されている「信書」業務とは何か?

「信書とは、『特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書』と郵便法などでは定義されています」

定義からしてなかなか難しい。ラブレターや引越しの通知の手紙は、間違いなく「信書」のようだ。だが、一藤弁護士でも信書かどうか首をひねる例もあるという。

「履歴書は、応募者から会社に送付する場合には信書にあたるのに、会社から応募者に返送する場合は信書にあたらないとされています。これは分かりにくいですよね」

なぜ「信書」業務の規制があるのか?

「『郵便サービスを国民に広く公平に提供して公共の福祉を増進する』という郵便制度の理念からすると、そのようなサービスを提供する体力のない会社の参入は認めないというのが最大の理由でしょう。また憲法で定められている『通信の秘密』を侵さない仕組みも必要ですし、出した手紙は必ず届くという社会的信用も重要。一定の規制が必要なのはたしかですね」

だが、一藤弁護士は今の「一般信書便事業」の規制はやり過ぎといえる面があるという。

「全国10万本のポスト設置や週6日以上の配達、全国均一料金などの厳しい条件を義務付けていることは、新規参入を事実上認めないというのも同然ですね。はたしてそこまでの『公平性』が本当に必要なのかという疑問もあります。

また、利用者の利益というのは公平性だけじゃないですよね。地域などが限定されていても、郵便料金が安かったり、こちらが投函しに行くのではなく受け取りに来てくれたり、そんなサービスがあることも利用者の利益であるわけですから」

●「信書」業務にも規制緩和が始まりつつある

規制が厳しい信書事業だが、大型信書などを対象にした「特定信書便事業」分野ではすでに新規参入を幅広く受け入れ始めているという。

「大きさや料金等が一定の基準以上の信書を扱う『特定信書便事業』も2003年に導入されましたが、こちらは条件が緩くて比較的参入がしやすいこともあり、ここ10年で多数の業者が参入し、市場は急拡大しています」

今回の規制改革会議の答申で、この規制緩和の動きはさらに強まるのか?

「答申は、信書の規制について、『健全な競争による多様なサービス創出を促進する観点から』検討を行うとしています。経済環境の変化に合った規制の見直しは必要ですし、利用者には多様な選択肢を提供すべきです。一般信書便事業の参入要件が緩和し、特定信書便事業の業務範囲も広がる方向で見直される可能性が高いと考えます」

一藤弁護士は、このように今後の方向性を予測しつつ、「よく郵便を使う身としても、多くの業者が切磋琢磨して、より良いサービスを提供してもらえるとありがたいですね」と語った。

弁護士ドットコム トピックス編集部

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【取材協力弁護士】

一藤 剛志弁護士

一藤 剛志(いちふじ・つよし)弁護士

第二東京弁護士会多摩支部・広報委員会 委員長、同・震災対応プロジェクトチーム 座長、同・中小企業プロジェクトチーム 委員、公益社団法人立川法人会 幹事

事務所名: 弁護士法人TNLAW支所立川ニアレスト法律事務所