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経営者の報酬は最も低い従業員の12倍以内にするべき?:スイス

2013年11月23日 01時11分 JST | 更新 2015年01月26日 23時53分 JST

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スイスは、国民投票が盛んな国として知られているが、このほど新たに提起された問いかけも世界中に強い関心を呼んでいる。それは、企業経営者の最高報酬を従業員の最低報酬の12倍(12ヶ月)以内にまで制限すべきかどうかという、「1対12イニシアチブ」と呼ばれる提案だ。スイスでは、今年3月に「高額報酬制度反対イニシアチブ」とよばれる、株主の権利を強化して上場企業の経営者らに支払われる法外な報酬の抑制を狙った提案が68%の賛成で可決されている。

■アンチ自由主義?

法外な報酬を受け取る経営者と、低賃金で働く労働者という構図は、反グローバリゼーションや反自由主義などのキーワードを連想させるが、3月の国民投票はそればかりではない。経営者の報酬について株主総会が決定することに加えて、役員会などの人事決定プロセスにも株主が関与することを求めていることで、株主が企業経営に関与する割合を大きくしようという意図も見られる。

もちろん、莫大な報酬に対して国民が不信感を持っていることも事実だ。国民投票実施日の2週間前には、国際的に展開する製薬会社ノバルティスの前会長が退職金として7200万フラン(約71億円)を受け取ることが発覚して非難が殺到した。しかし、これは同業他社への移籍を防ぐための「合理的な」判断であったという声もあり、この事例からも分かるように企業の活動への悪影響も指摘されている。

■企業の国外流出に懸念も

実際に、スイスは低い税率や秘密が守られる金融機関など魅力的な条件によって、ヨーロッパのみならず世界中から大企業の本社を呼び寄せてきた。こうしたイニシアチブによって、彼らが国外への移転をおこなえば、ネスレなど多国籍企業によって3人に1人が雇用されているスイス国民にとっても少なからず影響がある。

そうした背景から、新たな「1対12イニシアチブ」は否決される公算が大きいという見方がある。一方でスイス以上に経営者と従業員の報酬格差が大きいアメリカでは、この国民投票に対して興味が集まっている。オキュパイ・ウォールストリート運動では、2007年において最も裕福な1%がアメリカの全ての資産の34.6%を、次の19%が50.5%を所有していることが批判されたが、こうした問題への関心はもはや世界中に広がっている。

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(※この記事は11月22日に掲載されたTHE NEW CLASSIC「経営者の報酬は最も低い従業員の12倍以内にするべき?:スイス」より転載しました)