米州議事堂に「サタニック・テンプル」の祭壇が出現。議員らが抗議し物議を醸す

祭壇には、ヤギの頭と人間の体、それに翼を持つバフォメット像などが置かれている
マサチューセッツ州セイラムにあるサタニック・テンプルの「改宗部屋」に置かれたバフォメット像(2019年10月8日)
マサチューセッツ州セイラムにあるサタニック・テンプルの「改宗部屋」に置かれたバフォメット像(2019年10月8日)
JOSEPH PREZIOSO via Getty Images

アメリカ・アイオワ州議会議事堂に、無神教の宗教団体「サタニック・テンプル」の祭壇が展示され、物議を醸している。

祭壇が12月初めに設置されると、市民や議員から撤去を求める声が相次いだ。その一方で、設置は言論や信教の自由だと主張する人たちもいる。

祭壇に飾られているのは、キャンドルに囲まれたサタニック・テンプルの「7つの信条」とシンボルマーク、そしてバフォメット像だ。

バフォメット像はヤギの頭と人間の体、それに翼を持つ偶像で、様々なオカルトや大衆文化で使われる。

アイオワ州議会議事堂に設置されたバフォメット像は、赤いベルベットのマントを身につけて、中央に五芒星が描かれた黒と赤のリボンのリースを持っている。

この祭壇の設置に、複数の共和党の議員らが反発している。

ブラッド・シャーマン州議員は12月8日付のニュースレターで、祭壇はアイオワ州憲法に違反していると主張し、展示に反対した。

牧師でもあるジョン・ダンウェル州議員は「キリスト教信者としては祭壇は不愉快」とSNSに投稿しつつも「議事堂での展示は申請を通して許可されており、宗教やイデオロギーによってに差別されることはない」と説明している。

ダンウェル州議員は今回の設置を受け入れる意向を示しながらも、今後は展示を制限する必要があるかもしれないとも綴っている。

キム・レイノルズ州知事は12月12日付のプレスリリースで、祭壇を「不快」と述べたうえで、「不愉快な言論に対し、自由な社会が取るべき最善の対応はさらなる言論で対抗すること」と訴えている。

サタニック・テンプルとは?

サタニック・テンプルは、その名前とは異なり、悪魔を崇拝する宗教団体ではない。無神教の宗教で、「7つの信条」に基づいて他者への共感や体の自己決定権などを説き、政教分離などを訴える政治活動を行なっている。

サタニック・テンプルの共同創設者で広報のルシアン・グリーヴス氏は、「(アイオワ州議会議事堂の)展示をキリスト教徒を侮辱するためのものだと考えている人々もいるが、そうではない」と地元紙デモイン・レジスターに説明している。

グリーヴス氏によると、開かれた公共の場で、サタニック・テンプルのような宗教が平等に扱われることが重要だという。

「政府に宗教的表現の形式を選り好みすることを許すことこそがより大きな悪であるということを、サタニック・テンプルの価値観の裏にある象徴主義に反対する人たちにも理解してほしいと思います」

サタニック・テンプルがアーカンソー州議会議事堂へ設置しようとしたバフォメット像(2018年8月16日)
サタニック・テンプルがアーカンソー州議会議事堂へ設置しようとしたバフォメット像(2018年8月16日)
via Associated Press

サタニック・テンプルが州議会議事堂で信教の自由を試すのは、今回が初めてではない。

2013年には、キリスト教の教えを書いた「十戒」の記念碑が置かれたオクラホマ州議会に、8フィート(2メートル50センチ)のバフォメット像を設置しようとした。その後、十戒の記念碑は撤去された。

また2018年にも、アーカンソー州議会議事堂に十戒の記念碑が設置されたことに、バフォメット像を展示することで抗議している

ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。

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