中東での「有志連合」に日本はどう向き合うべきか。

国会は休みに入ったが、日本外交は待ったなしの状況が続いている。

シーレーン防衛に正面から向き合う

国会は休みに入ったが、日本外交は待ったなしの状況が続いている。

民間船舶の安全を確保するために、米国が呼びかけているアデン湾での有志連合については、これまで国内外の動きを注視して沈黙してきたが、国政に関わる者として安全保障に関する判断から逃げることは出来ない。

忘れはならないのは、日本企業が所有するタンカーなどがホルムズ海峡周辺で攻撃されたことが、呼びかけの契機となったことだ。わが国のエネルギーの中東依存度の高さ、同じく中東依存度の高いアジア諸国の国力と我が国との関係、そして日米同盟を考えると、有志連合に関与しないという選択肢はないと私は考える。

原発事故への対応でも痛感したことだが、自らの国を守る気概と行動なくして、他国がわが国を守ってくれるなどという都合のいい話は国際社会においてはない。同盟国である米国は、3.11の際にわが国を全面的に支援する体制を敷いたが、自衛隊の行動無くして米国の支援はなかった。

わが国の選択肢としては、警戒監視、海上警備行動、海賊対処法や重要影響事態法による対応などが考えられるが、ゼロベースで想定されうる事態を検討すると、いずれも「帯に短し襷に長し」の感がある。新たに特措法を制定するとなると、かつての湾岸のトラウマが蘇ってくる。

注意が必要なのは、1991年や2001年当時、中東での有志連合への参加を要請してきた当時の米国政府と、今のトランプ政権とは性質が大きく異なるという点だ。

この間のトランプ大統領、ボルトン補佐官、ポンペイ国務長官、そしてダンフォード統合参謀本部議長などの発言を見ると、ホワイトハウス、国務省、米軍の発信にはバラつきがある。有志連合の結成が遅れている背景には、参加国の意思決定以前に、呼びかけ国である米国の意思が統一されていないことがあるのではないか。

米国のスタンスが不明確である以上、わが国が最優先でやるべきは、これまでの対応を強化することでシーレーンの実質的な安全を確保することではないか。わが国は、海賊対処法に基づき10年にわたってソマリア沖のアデン湾に自衛隊を派遣してきた経験がある。2013年からは、有志連合であるCTF151が行うゾーンディフェンスにも参加し、2015年からは司令官を派遣して、わが国だけではなく他国のタンカーの警備も行ってきた。

現時点で私が妥当だと考えるのは、CTFの枠組みをベースにエリアや機能の拡大を提案し、わが国が更なる役割を果たしていくアプローチだ。そのアプローチであれば、イランと米国との仲介役を引き続き果たすことも可能となる。ただ、事態の急変があれば、その際に様々な新たな対応が必要となる可能性には常に備えておかなければならない。

脆弱なシーレーンの安全確保はわが国の宿命だ。最後にもう一度強調しておきたいのは、わが国がこの問題に関与しないという選択肢はないということだ。

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