有働由美子アナの「中継やめましょう!」に称賛の声。空襲警報が鳴る中で状況伝えるジャーナリストに呼びかける

賞賛された有働アナと番組側の判断。緊迫した状況での中継で大事なこととは何か。放送での中継業務を経験した一人として、改めて考えました。
『news zero』
『news zero』
『news zero』公式サイトより

有働由美子アナウンサーが3月21日、自身がメーンキャスターを務める報道番組『news zero』に出演。ウクライナからの中継の場面で見せた対応に称賛の声が寄せられている。

番組ではある男性ジャーナリストが空襲警報が鳴る中で現地から状況を伝えていたが、身の安全を危惧した有働アナが「中継やめましょう!」と伝え、中継を取りやめる一幕があった。

緊迫した中継の際に求められることは何か。番組側の対応を振り返りながら改めて考える。

「中継やめましょう!」。有働さんの判断に称賛

番組は開始から約15分後、ウクライナの首都キエフ(キーフ)にいるジャーナリストの佐藤和孝氏と中継を結んだ。首都ではまもなく「外出禁止令」が出されるというタイミングだった。

中継の冒頭、有働アナは「今から4時間後に外出禁止令が出されるとのことですが、攻撃が激しさを増しているということなのでしょうか?」との質問と共に佐藤氏を呼んだ。

これに対し佐藤氏は、見た限りでは非常に落ち着いた様子ながらも「今、空襲警報が鳴っています。30分前くらいから鳴り始めましたね。(音が)聞こえますか?これ、空襲警報です」と返答。すると有働アナは「すぐに避難、逃げてください」と佐藤氏に伝えた。

佐藤氏は「まぁまぁ大丈夫ですよ」と返すも、有働アナは「いえ。中継は後で繋ぎましょう」と提案し、中継を切り上げようとした。

その後、佐藤氏は「まぁまぁ大丈夫。(中継を切り上げなければいけないような)そういう状況ではない。大丈夫です」と伝え、中継がしばらく続行する形に。

有働アナは「危険だったらすぐにこの中継を終わって逃げてください」と改めて伝えると、佐藤氏は「了解」と一言返した上で、その後も情報が伝えられた。

空襲警報とみられる音は、佐藤氏が情報を伝えている最中も、テレビを通じて視聴者に伝わっていた。

しばらく情報を伝えられたところで、有働アナが「佐藤さん、中継終わりましょう」と再び提案。

「まずは身の安全、なるべく安全なところへ移動しましょう。どうかどうか気をつけてください」と佐藤氏の身を案じた上で、中継を切り上げた。

SNSでは「迅速で素晴らしい判断。見ている側が怖くなってしまう」など称賛の声が数多く寄せられた。

有働由美子アナウンサー(2018年)
有働由美子アナウンサー(2018年)
時事通信社

緊迫した状況の中での中継で大事なこと

ウクライナでは13日、アメリカのジャーナリストで映画制作者のブレント・ルノー氏が銃撃を受けて亡くなっている。現地で取材にあたる者は常に危険と隣り合わせだ。

緊迫した状況下では、この度の有働アナの判断のように、番組側は現地で取材活動をする人々の身の安全を最優先にするべきだ。

最近では、地震などの災害発生時、アナウンサーや記者が現地から情報を伝えるだけでなく、放送従事者でない一般の被災者が電話等で放送局と中継を結んで状況を伝える機会も多い。

そのため、例えば番組側が話を聞く前に「今いる場所は安全でしょうか。安全は確保されている環境にいらっしゃいますか?」と確認を入れることも増えている。放送局が自局のアナウンサーや記者に確認するケースもある。この一言が非常に大事になる。

筆者は地震や豪雨・台風など多くの自然災害の現場から伝えたことがあるが、自身の身の安全を考慮し、外ではなく車の中から伝えることを選択したことが何度かあった。

現地で起きていることをその瞬間に伝えることやそうした情報には大きな意義と価値があるが、伝える側の身に何かが起こってからでは遅い。改めて、命や身の安全よりも大切にされるべき情報はないと考える。

放送局側が、危険と隣り合わせの現地から情報を提供する人の安全を完全に確保できる保証はない。そのため、リスクヘッジの意味においても安全を最優先する呼びかけは重要になる。