新NISAは「オルカンかS&P500」「一括か積立」どっち?上手な活用方法とは? 元外資系金融エリート肉乃小路ニクヨさんに聞く

新NISAを最大限に活用するには、どうしたらよいのでしょうか。資産運用を始める人が迷いがちなポイント、対象の選び方や非課税投資枠の活用方法などについて聞きました。

2024年から新NISA制度がスタートし、資産運用を始める人が増えています。投資初心者が新NISAを最大限に活用するには、どうしたらよいのでしょうか。元外資系金融エリートの肉乃小路ニクヨさんに投資対象の選び方や、非課税投資枠の活用方法などをお聞きしました。

肉乃小路ニクヨさん
肉乃小路ニクヨさん
Yuriko Izutani

 新NISAの1800万円枠、最短で使い切るべきか、時間分散すべきか?

――新NISAの1800万円の非課税保有限度額は、できるだけ早く埋めたほうがよいでしょうか。それとも、時間をかけたほうがよいでしょうか。

まとまったお金を持っている人は非課税投資枠をすぐに使い切ったほうがよいと思います。十分なお金がない人は、積立で徐々に非課税投資枠を埋めていくとよいでしょう。

時間をかけて投資することでリスクを減らすという考え方もありますね。老後まで数十年という時間がある若い世代には、この方法がおすすめ。だけど、40代、50代の人は、早く非課税投資枠を埋めて長期で運用することでリスクを減らしたほうがよいと思います。つまり、年間360万円(つみたて投資枠:年間120万円、成長投資枠:年間240万円)の非課税投資枠を5年間で埋めるということです。

新NISAは非課税で運用できるので、そのメリットを生かし、長期的に運用することで、運用益も大きくなるチャンスが増えます。必ずしも値上がりするとは限りませんが。年齢によって「長期」か「時間分散」どちらを優先するべきか異なりますね。

――非課税投資枠を5年間で埋める場合、1年に一度、一括で投資したほうがよいでしょうか。それとも、時期を分けて投資するべきでしょうか。

過去の統計によると、年初一括投資の勝率が一番高いと言われています。1年間の運用期間が長いほうが有利だからでしょう。そういった観点から、年初に360万円一括で投資している人もいます。でも、一括投資に抵抗感がある人は、1カ月に30万円、さらに分散したい人は1日に1万円ずつ投資すればよいのではないでしょうか。

新NISA「つみたて投資枠」「成長投資枠」どう使う?おすすめのポートフォリオは

――新NISAは、つみたて投資枠と成長投資枠に分かれており、投資初心者はどちらで何を買うべきか悩んでいる人も多いようです。おすすめの使い方を教えていただけますか。

投資初心者はいずれかの枠を活用して投資信託を始めることをおすすめします。成長投資枠でも投資信託を購入できますから、枠にこだわる必要はないと思います。

運用報告書を見ながら、どのような資産で構成されているかを確認し、経済を勉強することが大事です。運用報告書には、なぜこのような値動きをしたのかが説明されています。それを見ながらマーケットのトレンドを大まかに理解していくことが始めの一歩です。

株式に特化した投資信託に抵抗感がある人は、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)と同じようなポートフォリオ(国内株式25%・国内債券25%・外国株式25%・外国債券25%)の投資信託の商品を購入することをおすすめします。そうすると、外国株式や外国債券の情報も入ってくるので、幅広く勉強することができるからです。

――経済ニュースに疎いと、投資は難しいでしょうか。

運用報告書を読む上で、経済ニュースはチェックしておいたほうがよいですね。私は『ワールドビジネスサテライト』(テレビ東京)を毎日観ていますが、経済ツウから投資初心者まで楽しめるような内容に作られていると思います。自分が面白いと思うメディアで経済ニュースを取り入れていけばよいのではないでしょうか。

投資を始めると、保有している金融商品の価格変動が気になり、ニュースの入り方も変わるんですよね。だから経済がもっと面白く感じるようになると思います。

肉乃小路ニクヨさん
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Yuriko Izutani

 円安・円高、投資信託への影響

――投資信託では、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(通称オルカン)とS&P500に連動するインデックスファンドに人気が集中していますが、どのような観点で商品を選ぶことが大事でしょうか。

オルカンは各銘柄の時価総額の変化などによって投資対象国・地域や組み入れ上位業種の比率も変わりますし、米国株式も入っているんですよね。だから、S&P500に連動するインデックスファンドで米国株式に集中投資するより、米国株式だけでなく他の国・地域に分散されているオルカンのほうがよいと思いますね。

ただ、投資信託の商品を選ぶ際には、円高・円安といった為替変動も考慮したほうがよいでしょう。現状(取材日は2024年1月末)で言うと、私個人としては円安が進みすぎていると考えています。円安の時は日本株を買ったほうがいいじゃないですか。私はオルカンと合わせて日経平均に連動する商品に投資しており、「今は円安だな」と思う時は、日経平均に連動する商品へ多めに投資しています。逆に、円高になってきたらオルカンに多めに投資するのがよいのではないでしょうか。

今後、日本経済はどうなる?

――日本株は2024年年初から上昇相場が続いていますが、中長期的にどのような見通しを持っていますか。

私は日本株に関して楽観的です。地政学的な観点で、中国では中国共産党が規制を厳しくしていて、あまり自由でなくなってきています。そんな中国から逃げた資金が日本に入ってくると思うんですよね。台湾は有事のリスクを抱えています。シンガポールにも中国からの逃避マネーが流れているけど、地理的に中国から遠い。そうすると、一番資金が流れやすいのは、韓国か日本。中国と至近距離で、北に休戦状態の北朝鮮を抱えている韓国より、海を挟んで適度な距離がある日本に安心感を持つ人は多いと思うんですよ。

ただ、日本は少子高齢化という大きな問題を抱えています。人材不足を解消するために、移民を受け入れようという意見がありますが、日本円の価値が低いと移民も来ないのではないでしょうか。

もう日本は、世界に先駆けて無人で成り立つ社会を作らざるを得ない気がします。そのためには大規模な技術革新や規制緩和が必要です。ただ、それが実現すれば、生産性が劇的に向上すると思います。幸いにも、日本はロボット開発などが得意分野ですよね。現状を、好機と捉える企業が増えるといいなという期待を込めて、私は日本株にも投資しています。

肉乃小路ニクヨさんプロフィール
経済愛好家、ニューレディー、コラムニスト。慶應義塾大学在学中の1996年より女装を開始する。並行して会社員としても勤務。主に銀行と保険会社でキャリアを積む。セクシャルマイノリティーとしての葛藤で苦しんだ青少年期とショウガール、ゲイバーのママ、会社員時代に鍛えた人間観察力を活かして、経済、お金、恋愛、ライフスタイル等を語る。2023年に初の著書『確実にお金を増やして、自由な私を生きる! 元外資系金融エリートが語る価値あるお金の増やし方 』(KADOKAWA)を発売。

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