
キリスト教最大宗派であるローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇が4月21日に死去した。88歳だった。
教皇は、ローマ・カトリック教会の最高指導者であり、イエス・キリストから使徒の頭として選ばれたペトロの後継者とされている。
フランシスコ教皇が亡くなった後、ローマ教皇庁はコンクラーベ(教皇選挙)を行い、新しい教皇を選ぶことになる。
新しい教皇はいつ頃、どのような手続きで選ばれるのだろうか。
フランシスコ教皇の葬儀
教皇が亡くなった後は、9日間祈りを捧げる「ノヴェンディアーリ(Novendiali)」が行われる。
ローマ教皇庁によると、フランシスコ教皇の遺体は23日にバチカンのサン・ピエトロ大聖堂に移され、信者たちが祈りを捧げる。また、葬儀は26日に執り行われる。
フランシスコ教皇は遺言で簡素な葬儀を希望し、埋葬先としてローマにある聖マリア大聖堂を選んだ。
教皇がバチカンのサン・ピエトロ大聖堂以外に埋葬されるのは、100年以上振りとなる。
ちなみに、教皇不在の期間はセーデ・ヴァカンテ(使徒座空位)と呼ばれ、この空位期間だけ有効になるメダルや切手、硬貨が発行される。
教皇を選ぶ選挙「コンクラーベ」は誰が参加できる?
使徒座空位が宣言されてから、つまり教皇が亡くなってから15〜20日以内に開始されるのが、次の教皇を選ぶコンクラーベ(教皇選挙)だ。
コンクラーベは、ミケランジェロが描いた天井画や「最後の審判」がある、バチカン宮殿のシスティーナ礼拝堂で極秘裏に行われる。
選挙権を持つ枢機卿全員がバチカンに集まる時間を確保するため、コンクラーベは一般的に死後15〜20日以内に行われるとされている。しかし枢機卿全員がそろい、合意すれば、15日より前に始めることも可能だ。
コンクラーベに参加できるのは、80歳未満の枢機卿のみで、定員は最大120人と決められている。
最新のリストによると、投票資格のある80歳未満の枢機卿は現在135人いる(この人数はコンクラーベ開始までに変わる可能性がある)。
80歳を超えた枢機卿は投票には参加できないものの、コンクラーベ前に開かれる総会には出席できる。総会では、次期教皇に必要とされる資質や教会が抱えている問題について話し合われる。
投票はどのように行われるのか?
候補者が教皇に選ばれるには、3分の2以上の票を獲得する必要がある。
投票用紙は長方形で、上半分にラテン語で「Eligo in Summum Pontificem(私は教皇に選挙する)」と書かれ、下半分の空欄に候補者の名前を記入するようになっている。
投票権のある枢機卿は、自分の選んだ人物の名前を記入し、用紙を折って「最後の審判」のある礼拝堂の祭壇へ進む。そこで、「私の証人で、審判者である主キリストの御名において、神の前で教皇に選ばれるべきだと私が信じる者に、この一票を捧げます」と宣誓して投票する。
最初の投票はコンクラーベ初日の午後に行われ、この投票で教皇が決まらなければ、続く2日間の午前と午後に投票が実施される。
この3日間、合計7回の投票で決まらない場合は、1日の祈りの期間が設けられ、同じような形で投票が行われる。
この3日間にわたる7回の投票プロセスを4回繰り返しても決まらない場合は、最後の投票での上位2人から教皇を選出する決選投票が行われる。
投票で教皇が選ばれたかどうかは、システィーナ礼拝堂の煙突から上がる煙の色でわかる。
各投票の後、投票用紙はシスティーナ礼拝堂に置かれたに円筒型の炉で焼かれ、その際に煙の色を変えるための化学物質が加えられる。
煙突から黒煙が出れば投票は無効、白煙が出れば新たな教皇が選ばれたことを意味する。
白い煙が出た後に、サンピエトロ大聖堂正面のバルコニーに新しい教皇が姿を現し、首席枢機卿が「教皇が選ばれました(Habemus Papam/ ハベムス・パーパム)」とラテン語で宣言して、新しい教皇の名前を発表する。
