
国土交通省は7月1日、飛行機内でのモバイルバッテリーの取り扱い方法が変わると発表した。変更は同8日から。
機内でモバイルバッテリーが発煙・発火している事案が発生していることから、一層の安全性の向上を図ることにした。
追加された2つの新しいルール
国交省によると、モバイルバッテリーやスマホ、タブレット、ゲーム端末などに使用されているリチウムイオン電池は、外部から衝撃を受けたり、過充電したりすることで、発熱・発火などの恐れがある。
そのため、同省は現在、国際基準に基づいて、機内に預け入れる荷物にモバイルバッテリーを含めることを禁止としている。
また、機内への持ち込みについても、ワット時定格量(Wh)が160Whを超えるものは禁止としており、160Wh以下であっても持ち込めるのは2個まで(100Wh〜160Wh)としている。
しかし、2025年1月に韓国・金海空港で起きた「エアプサン航空機炎上事故」など、モバイルバッテリーが原因とみられる事故が発生していることから、同省は現行のルールに以下の2点を新たに追加した。
①モバイルバッテリーを座席上の収納棚に収納しない
②モバイルバッテリーから携帯用電子機器に充電したり、機内電源からモバイルバッテリーに充電したりする際は、常に状態が確認できる場所で行う
いずれも、モバイルバッテリーの異常に気づいたり、万が一の際に速やかな対応ができたりするよう求めたもので、同省は「リチウムイオン電池は、熱暴走により発火に至るおそれのある危険物でもある」などと注意喚起している。
なお、外国の航空会社に搭乗する際は、各社の指示に従う必要があるという。

手持ち花火のように勢いよく炎がふき出す
製品評価技術基盤機構(NITE)も同日、モバイルバッテリーにワット時定格量の記載がない場合の計算方法(公称電圧(V) × 定格定量(mAh) ÷1,000)を発信し、「リチウムイオン電池は熱と衝撃が弱点」と注意喚起している。
また、NITEはモバイルバッテリーに関する実験動画を公式YouTubeに公開している。
映像には、モバイルバッテリーから破裂音が聞こえた瞬間、手持ち花火のように勢いよく炎がふき出す様子が映っており、飛行機内でこのような発火が起きると、大きな事故につながることが容易に想像できる。
NITEは動画内で、モバイルバッテリーに異常が起きた場合は、金属鍋や土鍋、水の中に入れたり、大量の水をかけたりして消火するよう呼びかけている。