
韓国料理店などが立ち並ぶ大久保通り(新宿区)で10月13日、第42回目となる「大久保まつり」が開かれた。
通りではパレードが開催され、アオザイや韓服など様々な伝統衣装を着た人たちで溢れ、多くの人で賑わった。
主催者によると大久保まつりは「多国籍な文化が交差する大久保の魅力を凝縮したお祭り」。地元の日本人のほか、韓国人、ベトナム人など様々なバックグラウンドの人たちが参加し、多様性溢れる街を体現したお祭りとなった。
パレードには「朝鮮通信使」やベトナムのドラゴンダンス


祭りの目玉である大久保通りでの大規模なパレードには、地元の子どもたちよる鼓笛隊やバトントワリングのパフォーマンスに加え、韓国、ベトナムのグループも参加。
「朝鮮通信使」の行列や、太鼓「チャンゴ」の演奏などが行われた。在日コリアンの人々も参加した。

「東京ベトナム協会」のベトナム人の若者たちは、アオザイなどの伝統衣装を着て踊りながら練り歩いたり、ドラゴンダンスを披露したりした。
ダイナミックなドラゴンダンスには、祭りを訪れた様々なバックグラウンドの子どもたちも釘付けに。拍手や声援を送りながらパフォーマンスを楽しんだ。

地元からは「百人町民謡踊り」もパレードに参加。パレードの隣では、新宿区を中心に活動する「太井野会」が和太鼓や獅子舞を披露した。


通り沿いにあるルーテル協会では、タイやスリランカ、ミャンマー、ベトナム、韓国などの食べ物も販売された。
外国人の若者もボランティアとして参加
ハンさんは「多様性に溢れていて、韓国やベトナム、様々な国のレストランや食材店がある大久保が大好き」だという。
日本語学校時代にお世話になった大久保の街には週1回、地域センターで開催されている語学学習への参加でも通い続けている。ベトナム人と日本人がお互いの言語を教えあう日本語・ベトナム語教室は、8年続けられているという。
街の魅力は多様性。約10年前から外国人も一緒に祭り盛り上げ

主催の新大久保商店街振興組合で顧問を務める諏訪信雄さんは取材に対し、街の魅力は「ベトナム、韓国、中国など色々な国の人たちが一緒に暮らしているところ」だと話した。
42回にわたり行われてきた大久保まつりだが、外国人も参加し一緒に作り上げるようになったのは、商店街に韓国料理店が目立つようになった10年ほど前から。
以来、韓国に加えてベトナム人たちもパレードなどに参加し、祭りを盛り上げてきた。

新大久保・大久保駅周辺に広がるエリアに住んでいる外国人の割合は非常に高い。
2020年の国勢調査の結果によると、大久保1丁目に住む外国人の割合は24.4%。大久保2丁目で23.3%、その隣の百人町2丁目は26.3%だ。
周辺では、韓国だけでなく、中国やネパール、ベトナムなど各国の外国人店主による店も急増。もちろん商習慣や文化の違いなども存在し、課題はある。
それでも、「大久保」といえば「パレードにも見られたように、色々な国の人たちがいること」が強み。多様性が街を強くしている。変化を遂げつつも、共に新しい街の形を模索している。
(取材・文=冨田すみれ子)