水素の精密測定結果と反水素の同等な測定結果を比較することは、物理学の基礎であるCPT(荷電共役変換、空間反転、時間反転)対称性を検証する手段となる。しかし、反水素は壊れやすいため、分光測定を行うのに十分な量を生成することは非常に困難である。
今回、新しい反水素蓄積方法を用いて、反水素の超微細スペクトルの測定が可能になった。その結果は、水素と反水素には差がないことを示している。水素のスペクトルは高い精度まで非常によく分かっているので、実験が改良されると、CPT定理を極めて精密に検証できる可能性がある。
Nature548, 7665
2017年8月3日
原著論文:
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doi:10.1038/nature23446
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