公職選挙法の改正で夏に解禁される事になったネット選挙において、候補者本人によるネット広告が事実上掲載できることがわかったと東京新聞が報じている。
今回改正された公職選挙法は、インターネットでの選挙活動について解禁がなされる内容となったが、有料インターネット広告については選挙費用の増大などを懸念し、
有料インターネット広告については、政党等の選挙運動用ウェブサイトに直接リンクする広告(バナー広告等)を政党等にのみ認めることで、有権者が政党等の政見に触れる機会を増やすこととしている。
(インターネット選挙運動等に関する各党協議会「ガイドライン 第一版」より。 2013/4/26)
と定めている。
しかし、同ガイドライン上では、政党支部の支部長の広告掲載に関して、下記のように書かれている。
【問25】 政党支部が選挙運動用ウェブサイトに直接リンクする有料インターネット広告を掲載させる場合、その支部長の氏名や写真を掲載することができるか。
【答】
1 本改正は、候補者・政党等の氏名・名称又はこれらの類推事項を表示した選挙運動用有料インターネット広告を禁止するとともに、その禁止を免れる行為等も禁止している(公職選挙法142条の6第1項~第3項)。
一方、政党等は、当該政党等の選挙運動用ウェブサイトに直接リンクする有料インターネット広告を掲載させることができるが(同条第4項)、これには、一般的に、党本部のみならず、都道府県連その他の支部も含まれるものである。
2 特定の行為が本改正による有料インターネット広告規制に違反するかどうかは、個別具体の事情を勘案して判断することとなるが、一般的には、政党支部が当該政党等の選挙運動用ウェブサイトに直接リンクする有料インターネット広告を掲載させる場合に、当該広告にその支部長の氏名や写真を表示することのみをもって直ちに選挙運動性を有するとは断定できない(下記例参照)が、当該広告が当該支部長や当該政党等のための選挙運動用文書図画
と認められるときは、選挙運動用有料インターネット広告を禁止している公職選挙法142条の6第1項の規定に抵触するものと考えられる。
(インターネット選挙運動等に関する各党協議会「ガイドライン 第一版」より。 2013/4/26)
この具体例では、あくまでも政党支部長の名前や顔写真が、政党支部名よりも小さいものとなっている。また、顔の大きさは、政党名の1字あたりよりも大きくならないない例となっている。
候補者については、選挙運動に係る資金の最高限度額(法定選挙運動費用)が決められているが、政党については、決められていない。そのため、このガイドラインについては、政党に属していない無所属での出馬は不利との声も出ている。
コストがかからないとされていたネット選挙だが、むしろ選挙でお金がかかるようになってしまっては本末転倒だ。ルールは作られても、完全ではないことも多いが、わざわざガイドラインに盛り込むあたり、各党正々堂々選挙を戦うとは言えなさそうだ。