「超高速取引が株価乱高下の一因」麻生財務相が見解示す

麻生太郎財務相は28日午前の閣議後会見で、最近の株価の乱高下の一因として、自動プログラムで高速売買を繰り返す超高速取引(HFT)があるとの見方を示した。
Reuters

麻生太郎財務相は28日午前の閣議後会見で、最近の株価の乱高下の一因として、自動プログラムで高速売買を繰り返す超高速取引(HFT)があるとの見方を示した。

財務相は「HFTという機械に乗せて(取引を)やると、一方的に上がり始めるとうわっと上がるし、下がるときはだっと下がる。人間だったらそんなことにはならない」と、自動高速取引の活発化が大幅な値動きを助長していると指摘。「1日でこれだけ(株価などが)乱高下するのは、あの機械のおかげ」と苦言を呈しながら「これは、という判断ができるのは、人間しか残っていない」などと話した。

高速取引の規制に関する考えを記者から問われた財務相は「一喜一憂して目先(の利益)を追った結果、大損したりするのを重ねないと、痛い目に合わないと直らない」としながらも、HFTに「それなりの価値を見出している人もいるだろう。一方的に規制せず、当局としては、あまり一喜一憂しないことだと思っている」と答えた。

<GDPからGDIへ>

財務相はこの日の閣議に、2012年末の対外資産・負債残高を報告。日本の政府や企業、個人が海外に保有する資産(対外資産)から、海外勢が日本で保有する資産(対外負債)を差し引いた対外純資産は、前年末比11.6%増の296兆3150億円と3年ぶりに過去最高を更新した。

純資産の増加は、昨年末にかけて進行した円安で、海外資産の評価額が増えたことが主因。財務相は会見で「国内総生産(GDP)に変わって、国内総所得(GDI)がもっと主流になる、そういう時代になっている」と総括。「特許や配当、金利など海外から入ってくる所得の多さが、物を売って稼ぐ貿易収支を上回るほど、日本が金融として大きな存在になっているとの自覚がないのでは。フローではなくストックで物を考える発想が、だんだん出てくるのではないか」と指摘した。

<標準時間の前倒しに否定的見解>

22日の産業競争力会議で、猪瀬直樹東京都知事が東京市場の活性化策として、日本の標準時間を2時間早め、世界で最も早い時間から取引が行えるようにする案を提示したことには「マーケットに合わせて、なぜ皆の時間も全部2時間早めないといけないのか。マーケットはそんなに大変なものか」と否定的な考えを表明。日本は「主要マーケットとしては一番早く開いている。それをさらに2時間早めないと活性化しないのか。よくわからない」と述べた。

<財審報告「極めてまとも」>

財務相の諮問機関である財政制度審議会が27日、財政健全化の必要性はこれまで以上に差し迫った課題などとする報告書をまとめたことには「極めてまともなこと、当たり前のことが書いてある。財政健全化は当然のこと」として、年央をめどに財政健全化策を策定する考えを重ねて示した。「意見書の内容を受け止め、中期的に持続可能な財政構造を確立していかねばならないのは従来通り」という。[東京 28日 ロイター]

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