巨大な加速器を使って宇宙の成り立ちのなぞに迫る「国際リニアコライダー」(ILC)。国際研究グループは12日、その設計報告書を発表した。全長は世界最大の31キロ、建設費は8300億円。最短で2015年ごろに建設場所が決まり、建設期間は10年の見込み。今後は建設実現に向けた模索が始まるが、焦点はその建設場所や巨額の費用の負担割合だ。ただ、朝日新聞デジタルの記事によると、日本に建設される公算が大きいとみられる…

巨大な加速器を使って宇宙の成り立ちのなぞに迫る「国際リニアコライダー」(ILC)。国際研究グループは12日、その設計報告書を発表した。全長は世界最大の31キロ、建設費は8300億円。最短で2015年ごろに建設場所が決まり、建設期間は10年の見込み。今後は建設実現に向けた模索が始まるが、焦点はその建設場所や巨額の費用の負担割合だ。ただ、朝日新聞デジタルの記事によると、日本に建設される公算が大きいとみられる。朝日新聞デジタルは次のように報じている。

欧米は財政難などの理由で誘致に消極的で、LCCは日本の誘致に期待している。国内では岩手・宮城両県にまたがる北上山地と、佐賀・福岡両県にまたがる脊振山地が候補地に上がっている。国内の研究者らは、7月末までに候補地を一つに絞って国に提案する。

朝日新聞デジタル「全長31キロ、建設8300億円 ILC、宇宙の謎に迫る巨大加速器」2013/6/13)

ILCとは、地下100メートルに全長30~50キロのトンネルを建設し、電子と陽電子を光速に近い速度まで加速させて衝突させる仕組み。宇宙が誕生した「ビッグバン」直後の状態を人口的に作り出し、宇宙創生や物質誕生の謎に迫ろうとする研究だ。政府レベルで誘致に手を挙げている国はないが、国内では東北と九州が候補地に名乗りを上げている。

今年2月の朝日新聞デジタルの記事は、岩手県で誘致活動が熱を帯びている様子を伝え、「誘致に成功すれば、世界中の研究者が3千人、家族も含めると1万人が移り住み、30年間の経済効果は4・3兆円」という「試算」を紹介している。(朝日新聞デジタル「正念場のILC誘致 岩手県予算を問う(下)」より。2013/2/17)

また、九州では佐賀県と福岡県が、5月にスイスとフランスにまたがるILCの研究施設「欧州合同原子核研究機関(CERN)」を訪れ、熱意をアピール。生活密着型ニュースサイト「朝れい!」によると、福岡・佐賀は「外国の研究者が暮らしやすい国際都市ぶり」を、岩手は「東北再生のシンボル」を訴えているという。

(朝れい!「国際リニアコライダー(ILC)の誘致のため、佐賀県と福岡県の知事がCERNを訪問」より。2013/05/15)

来月には国内候補地は一本化される予定。誘致合戦も最後のスパートに入るとみられるが、さて、勝敗はどちらに?

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