中南米のジャングルに生息する「ヤドクガエル」の仲間はコバルトブルーやピンク、黄色と黒のストライプなど非常にカラフル。「熱帯雨林の宝石」と呼ばれるのも納得できる美しさだ。
しかし「きれいな物にはトゲがある」とはよく言ったもので、このカエルの仲間は体内に強力な毒素を持っている。鮮やかな色彩は「ボクを食べるとひどい目に合うよ!」と、蛇や鳥などの天敵にアピールするための警告色なのだ。
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中でも、コロンビアに生息するモウドクフキヤガエルは、生物の中で最強の毒を持つとされ、1匹で約10人を死に至らしめることができるという。先住民エンベラ族がその強力な毒を、吹き矢の矢じりに塗って狩りに利用していたことが、「ヤドクガエル」の名前の由来となっている。
しかし、この毒は生まれ育ったジャングルから離れて水槽などで繁殖させると、なぜか消えてしまう。現地で食べるエサから「毒素を吸収しているのではないか?」という説も出ているが、未だはっきりしたことは分かっていない。
毒という武器があることで、ヤドクガエルの仲間はジャンプ力も発達しなかった。ジャングルの中をのっそりと歩き回り、アリなどの昆虫を食べて優雅に暮らしていたのだが、現在では危機に瀕している種類も多い。その美しさが仇となってペット用に乱獲されたことで、絶滅が危惧されているのだ。ジャングルの開発で生息域が奪われたことも、拍車をかけている。猛毒よりも恐ろしいのは人間の欲望だったようだ。
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