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2013年08月05日 22時40分 JST | 更新 2018年03月13日 15時48分 JST

アトピー性皮膚炎発症のメカニズム解明 治療薬開発に期待


皮膚などにあるタンパク質「インターロイキン33」(IL33)が過剰に生み出されるとアトピー性皮膚炎の発症につながることを、兵庫医科大学と三重大学のチームがマウスの実験で明らかにし、2013年8月5日付の米科学アカデミー紀要電子版に発表した。共同通信が伝えた。

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同医大の山西清文主任教授(皮膚科)によると、アトピー性皮膚炎は乳幼児から成人まで、日本人の約20%が患者になっているとされる

時事通信によると、IL33は皮膚表面の細胞内に存在する。かきむしったり花粉やダニなどで刺激が与えられたりすると、細胞から出て白血球などと結合し、アレルギーを引き起こす。アトピー性皮膚炎の患者にはIL33が多いことが分かっているが、発症との関係は不明だった。

インターロイキンとは、免疫反応にかかわるリンパ球の増殖や分裂を誘導するタンパク質因子で、リンパ球やマクロファージ(動物の組織内に分布する大形のアメーバ状細胞。生体内に侵入した細菌などの異物を捕らえて細胞内で消化するとともに、それらの異物に抵抗するための免疫情報をリンパ球に伝える)が生産する。サイトカイン(抗原が感作リンパ球に結合した時に、このリンパ球から分泌される特殊なたんぱく質の総称)の一つのグループ。
(コトバンク「インターロイキン」より)

研究グループは遺伝子を操作し、IL33を野生型の約10倍作るマウスを作製。清潔な環境下で飼育したところ、生後6~8週で全てのマウスの顔や手、しっぽなどに、かゆみを伴い皮膚が厚くなるアトピー性皮膚炎の症状が出た。

遺伝子操作マウスは、かゆみの元になるヒスタミンを分泌する肥満細胞が野生型の約3倍に増加。特殊な自然リンパ球も増え、炎症性たんぱく質IL5を作り出していた。IL5の作用を中和させる抗体を投与すると、皮膚炎の症状は緩和されたという。

山西主任教授は「IL33の発現を抑えるような治療薬の開発が期待できる」としている

■ アトピー性皮膚炎の原因物質ヒスタミンが発汗を抑えて症状を悪化させる

また、汗の量とアトピー性皮膚炎との相関関係も、研究で明らかになっている。

アトピー性皮膚炎のかゆみなどの症状を引き起こす化学物質ヒスタミンが、発汗を抑えて皮膚を乾燥させるなどし、病状を悪化させることを大阪大大学院医学系研究科の室田浩之講師(皮膚科)らのチームがマウスを使って突き止め、2013年7月31日発表した。アレルギー疾患や発汗異常の診療に役立つと期待される。共同通信が伝えた。

ヒスタミンとは、動物の組織内に広く存在する化学物質。普通は不活性状態にあるが、けがや薬により活性型となり、血管拡張を起こし(発赤)、不随意筋を収縮する。またかゆみや痛みの原因となるともいわれる。過剰に活性化されるとアレルギー症状の原因となる

汗は体温を下げるほか、病原体からの防御や肌の保湿といった重要な役割を持つ。アトピー性皮膚炎の患者では、発汗量が通常の人の約半分になっており、チームは汗をかかないことが悪化の一因と考えた