島根大医学部付属病院(島根県出雲市)は6月13日、世界的にも報告のないとされる先天的な心疾患のある0歳女児の根治手術に成功したと発表した。生後3日で入院した女児はこの日、5回の手術を経て無事退院したという。毎日新聞などが報じた。
執刀した小児心臓外科の藤本欣史(よしふみ)医師(44)によると、女児は3月、生後3日目にショック状態で医学部付属病院に搬送された。体重は2キロしかなく、低出生体重児だった。大動脈と肺動脈が分かれず、1本の太い血管が形成される先天性の心奇形「総動脈幹症」と診断され、搬送から3日後に最初の手術をした。
この病気は10万人に6人程度の割合で発症するとされ、全身に必要な血液が送られない一方、肺に過大な量の血液が流れるという。
(毎日新聞『心臓手術:心疾患の女児、成功 「余命数日」から退院−−島根大』より 2014/06/14)
女児は、血液を全身に送る大動脈と、肺に送る肺動脈とを切り離してつなぎ直すなどの手術を計5回行った。転院当時は約2キロだった体重は約500グラム増加したという。
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島根大医学部付属病院は2013年10月、島根、鳥取両県で初めてとなる小児心臓外科を新設したばかりだ。医師らは「広島や岡山の病院に搬送するリスクが減らせるよう、今後も実績を重ねたい」と話しているという。
医師らは「重い先天性心疾患がある子どもでも、島根で治療できるという選択肢があることを知ってほしい」と話している。
(朝日新聞デジタル「島根)先天性心疾患の新生児、島根大病院で手術成功」より 2014/06/14 03:00)