中国「一人っ子政策」の完全廃止を決定も「二人っ子」の急増は見込めない理由

ベビーフードメーカーの株価は急伸したが、勇み足だったかもしれない。
reuters

[シカゴ 30日 ロイター] - 中国が29日、夫婦に子供は原則1人までと定めた国策「一人っ子政策」の完全廃止を決定したことを受けて、ベビーフードメーカーの株価は急伸したが、勇み足だったかもしれない。アナリストは、中国の政策変更でもベビーフードの需要はあまり増えない、と指摘している。

中国の「一人っ子政策」廃止が伝わった29日の株式市場では、粉ミルクメーカーのダノン

中国の景気減速や、中国政府が母乳育児を推奨していることを背景に、ベビーフードや粉ミルクの売り上げは低迷。米農務省によると、全脂粉乳の国際価格は今年7月、2009年以来の水準に下落している。

しかし、中国でベビーブームが起きると予想する向きは多くはない。小さな家族という形態が中国文化に根を下ろしているほか、子供を増やすことは多くの世帯にとって、経済的に厳しいと見られるためだ。

中国は2013年末、「一人っ子政策」を緩和し、夫婦どちらかが一人っ子であれば、第2子の出産を認めたが、第2子を持つ動きは広がらなかった。今年6月現在で、第2子を持つ資格のある1100万組の夫婦のうち、第2子の出産を申請したのは150万組にとどまる。

<子育ての経済的負担がネックに>

ミード・ジョンソンは、「一人っ子政策」廃止について、「中国の出産数や出生率に大きな影響を及ぼすとは考えていない」としている。

また、米農務省のシニアエコノミスト、フレッド・ゲール氏は、中国では子育てにかかる経済的な負担が大きいことから、「一人っ子政策」廃止でも乳製品需要にはほとんど影響しない、との見方を示した。

米農務省によると、2011年の中国のベビーフード小売売上高は680億元(約107億ドル)。全体の約90%は粉ミルクだった。

(Tom Polansek記者 翻訳:吉川彩 編集:内田慎一)

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