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2018年01月24日 16時26分 JST | 更新 2018年01月30日 15時53分 JST

誰かと過ごすより「ひとり」が良くない? 29歳、女性編集者が“おひとりさま専用”東京ウォーカーを作ったよ

「炎上するんじゃない?」という社内の声を乗り越え、2万部を超えるヒットに。

企画者はウォーカー編集部の中村茉依さん(29)
Kei Yoshikawa/HuffPost Japan
企画者はウォーカー編集部の中村茉依さん(29)

創刊30周年を控えた「東京ウォーカー」が勝負に出た――。この冬、KADOKAWAが出版した「おひとりさま専用Walker」がネットを中心に話題になっています。

「東京ウォーカー」といえば、夏は花火大会、冬はクリスマスイルミネーションを特集し、やたらと季節イベントを煽ってくる「リア充御用達」雑誌というイメージが強いですよね...?(※編注:あくまで個人の感想です)。

ところが、この「おひとりさま専用Walker」はその真逆。「ひとり」のプロたちが、インドア・アウトドアを問わず、ひとりの時間を満喫する方法を教えてくれます。

企画者はウォーカー編集部の中村茉依さん(29)。自身も「おひとりさま」という中村さんは「誰かと過ごすことを前提とした"ウォーカー"に疲れた。疑問を感じた」と語ります。

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中村さんおすすめの「ひとりしゃぶしゃぶ」が楽しめる飲食店をまとめたページ。これ以外に「ひとりバー」「ひとり寿司」「ひとりイタリアン」「ひとり中華」などをまとめたページも。ひとり飯のバイブルになりそう。

肌寒い季節、手をつなぎながら歩くカップルを街で目にしたとき、人は自分が「ひとり」であることを痛感する――。「そんな心の隙間を埋めたい」と語る中村さんに、企画の経緯やおすすめの「ひとりレジャー」を聞きました。

■「誰かと過ごすことを前提にして良いのかな」

KADOKAWA
「おひとりさま専用Walker」の表紙。サブタイトルの「これは、ひとりで読んでください」がパンチ効いてます。

――「東京ウォーカー」が「おひとりさま」を特集するのは意外でした。なぜ、この企画が生まれたのでしょうか。

そもそも、私自身が「おひとりさま」で...。誰かと過ごすことを前提とした「東京ウォーカー」や「季節Walker(季節情報誌。春夏秋冬に発行)」にちょっと疲れてたっていうか、疑問を感じてたんですよね。

世の中には、ひとりでも楽しめる焼肉屋さんやしゃぶしゃぶ屋さんなど、ひとりで食事を満喫できるお店も増えてきている。なのに、誰かと過ごすことを前提にし続けていて良いのかなと。

世の中には、ひとりで過ごしたいという人も沢山いらっしゃる。そういう人に向けて、何か情報を発信できないかなと思っていました。

冬になると「クリぼっち」(編注:クリスマスをひとりで過ごす人のこと)という言葉が出てくる。

そういう方に向けて、「冬ウォーカー」で「ひとりで冬を過ごす人のための冊子を付録にしたい」と提案したところ、「試しにそれだけで1冊考えてみたら?」とアドバイスされまして。そこから、この本は始まりました。

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「クリぼっち」の満喫方法を紹介するページを見せてくれる中村さん。

――確かに、クリスマスは「誰かと一緒に」という目に見えない圧力を感じます。「クリスマスにひとりなんて寂しいね」と言われますが、大きなお世話ですよね...。「ひとりが寂しい」という前提が、そもそもおかしい。

「おひとりさま」という言葉には、ネガティブな印象もあったように思います。だから、この本を作るときも、社内からは「読者を傷つけるんじゃない?」「ネガティブじゃない?」「炎上するんじゃない?」という声もありました。

そこから「ひとり」をめぐる環境を調べ始めたら、ひとり向けの飲食店やサービスがあった。「生涯未婚率が過去最高」という話も出てきました。

「ひとりで過ごすことが人生のプラスになる」という視点なら、受け入れられるのではないか。そんな意見が社内でも次第に出てきました。

実際に発売したら2万部を超えるヒットに。増版(第3刷)も決まりました。発売してすぐ、これほどダイレクトに反応があると思わなかったです(笑)。

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「一人前」が簡単に作れるインスタントフードのカスタマイズレシピも紹介。汁なし担々麺が美味しそう。

――「平成」が終わりに向かう中で、「ひとり」に焦点を当てたレジャー雑誌が出ることに時代を感じました。

「おひとりさま」に向けたサービスが、世の中にも多くなってきた。これは実際に取材をしていく中で確信が持てました。

普段は2人前で料理を出していても、ひとりのお客さんには「ハーフサイズ」で提供するお店もあります。お店の人から「ひとりのお客さん、多いですよ」という話を聞くことも多々ありました。

もちろん、SNSで他人と交流をしたり、「誰かと繋がってたい」「承認欲求を満たしたい」という気持ちを持つ人も多いと思います。

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ひとりの時間を満喫できるガジェットも紹介。

一方で、「ひとり」の時間をつくって自分を見つめ直すことで、結果的に対人関係のプラスになることもあると思うんです。

本をつくる上で、独身の方だけではなく、肯定的にひとりの時間を楽しんでいる人の声もヒアリングしました。家庭を持つ人からは「出張でビジネスホテルに泊まったときが1番心が安らぐ」という声がありました。「自分だけの城みたいで、うれしい。満たされる」と。

なので、本を読んでくれた全ての人が「ひとりの時間を持ってみよう」と考えたりする、そういう方向になったらいいなと思いました。

――グルメやアウトドアなど各界から「ひとりライフ」のプロが登場されていますね。個人的に気になったのは、「ホフディラン」の小宮山雄飛さんが「ひとりディズニー」をオススメされていたことですね。

実は、ディズニーランドには「シングルライダー」というサービスがあるんです。

例えば4人乗りのアトラクションの場合、3人のグループがいると席が1つ余るじゃないですか。そこに、ひとりで来た人を先に入れてくれるんですよ。ひとりならではの特権です。

「90分待ち」のアトラクションを、ファストパスを持たずに、スイっと乗れる。これは「ひとりの特権」だなと思って。絶対に紹介したいと思いました。

――ひとりのほうが、逆に満喫できる場合もあると。

友だちと行くと、「自分はこれに乗りたい!」と思っても乗れないかもしれない。どうしても気を使わなくちゃいけない。煩わしさもある。

ディズニーランドを本当に満喫したいなら、意外とひとりで行ったほうが楽しめる可能性があるんですよね。乗りたいものに乗れるし、見たいパレードも見れますし。

――それなら「スプラッシュ・マウンテン10連続」も夢じゃない。ちょっとした「ひとり旅」みたいな感じですね。友だちと行くと色々な調整が面倒ですし...。

そうですね。自分の好きなように時間を使えるっていう点では、ひとり旅と同じかもしれない。

■世の中は「つながる」だけが全てじゃない。

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笑顔で取材に応じる中村さん。取材した私も「おひとりさま」なので、互いに「ひとりあるある」で話が盛り上がりました。

――今回のおひとりさまWalkerで「ここは絶対に読んでほしい!」というところは。

「ひとり飯特集」の「ひとり率」には、ぜひ注目してほしいですね。全てのお店にお客さんの割合の中での「ひとり率」を聞いて載せました。信頼度は抜群です。

ひとりだと「人目が気になる」「中に入って団体客ばっかりだったらどうしよう」と思う方もいらっしゃいますよね。それなら、事前にどれくらいの人が1人で来てるのかを知れたら、なんとなく気持ちの準備できるかなと。

おひとりさま初心者で「周りにひとりのお客さんがいないと心配」という人は、100%に近いお店に行ってください。逆に、孤独を感じたい人はひとり率が低いところをおすすめします。

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「ひとりしゃぶしゃぶ」ができるお店も紹介。銀座の「しゃぶせん」は一人用のカウンター席があり、お肉も美味しいのでオススメです。

――中村さんのオススメは。

「ひとりしゃぶしゃぶ」ですかね。今は全席カウンターで、ひとりサイズの鍋で出してくるお店も多いので。

ぜひ、冬のグルメをひとりで満喫してみるのはいかがでしょうか。焼肉もいいですよ。お肉を1枚単位でオーダーできます。

――集団生活や人とのつながりに疲れた時こその「ひとり肉」もいいですね。他に、ひとりになりたい時におすすめの場所はありますか?

「動物カフェ」がオススメですね。やっぱり、人と話したり繋がるのって、疲れることがありますよね。やれ「SNS」やら、やれ「いいね」やら...。

いまの時代は、「つながっていないほうが変」という世の中。昨年末には「インスタ映え」が流行語になりましたよね。でも、他人のことを意識しすぎて、脳みそがストレスフルになりがちな人も多いと思います。

そういうときこそ、ひとりで動物カフェとか、植物がたくさんあるカフェに行ってほしい。ひとりで落ち着ける場所で、自分と向き合うと、頭がすっきりしますよ。「おひとりさま専用Walker」には、そんな時にオススメのカフェもご紹介しています。

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「ひとり」にオススメのカフェをまとめたページ。

今回の特集雑誌は、「おひとりさま」である私自身が企画し、ガチで魂を込めてつくりました。

独身の方や、ひとり好きな方はもちろん、パートナーがいる人や結婚している人で「ひとり」の時間を作りたい人にも、家庭の中で孤独になっているお父さんにも...。あらゆる「ひとり」の人に読んでもらいたいですね。

ハフポスト日本版では、自立した個人の生きかたを特集する企画『#だからひとりが好き』を始めました。

学校や職場などでみんなと一緒でなければいけないという同調圧力に悩んだり、過度にみんなとつながろうとして疲弊したり...。繋がることが奨励され、ひとりで過ごす人は「ぼっち」「非リア」などという言葉とともに、否定的なイメージで語られる風潮もあります。

企画ではみんなと過ごすことと同様に、ひとりで過ごす大切さ(と楽しさ)を伝えていきます。

読者との双方向コミュニケーションを通して「ひとりを肯定する社会」について、みなさんと一緒に考えていきたいと思います。

『だからひとりが好き』Facebookページも開設しました。最新記事や動画をお知らせします。

ハッシュタグ #だからひとりが好き も用意しました。みなさんの体験や思いを聞かせてください。

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