「まるで生きる幽霊だ」 裁判所に『死亡』を取り消してもらえなかった男性、途方に暮れる。

20年ぶりに故郷のルーマニアに帰ると、死んだことになっていました。
コンスタンティン・レリウさん
コンスタンティン・レリウさん
ADRIAN ARNAUTU via Getty Images

「まるで生きる幽霊のようだ」ーー。ルーマニア人のコンスタンティン・レリウさん(63)は、裁判所から「自分が生きている」と認めてもらえず、絶望の淵に立たされている。

なぜ、レリウさんは「死んだ」と認定されてしまったのか。

AP通信ガーディアンなどが、ことの経緯や顛末を報じている。

■経緯

レリウさんは1992年、仕事を求めてトルコに渡った。95年に帰国したが、99年に再びトルコに渡ったのを最後に、妻や家族との連絡を絶ったようだ。

ところが2017年、在留期限を過ぎて滞在したとして、トルコ当局によって拘束され、ルーマニアに送還された。レリウさんは故郷のルーマニアで、「あなたは、2003年に死んだことになっている」と知らされた。

実は、長年連絡が取っていなかったレリウさんの妻が死亡届を出したため、レリウさんは2016年に死亡認定されていたのだ。

生きているのに「死んだ」ことにされてはたまらない。レリウさんは入管での尋問や写真・指紋認証など入念な検査の末、ようやく本人だと認められ、入国が許された。

レリウさんの受難は、入国後も続いた。地元の役所がパスポートの再発行してくれなかったのだ。

そこでレリウさんは、自分が生きていると認めてもらうため、死亡認定の取り消しを求めて裁判を起こした。ところが今年の3月15日、申請が「遅すぎた」としてレリウさんの要求は認められなかった。裁判官から、この決定は覆らないと言い渡されたという。

レリウさんの代理人は、要求が却下された理由について「(死亡認定の)変更期限の2年を過ぎていたためだ」と、Euroニュースに答えた。

Constantin Reliu is alive and well, but a Romanian court begs to differ after it refused to overturn his 'death certificate'.

Read more: https://t.co/q9Krc5CcXzpic.twitter.com/b6hnYFwO0F

— euronews (@euronews) March 17, 2018

レリウさんはAP通信の取材に、悲痛な心境を次のように語った。

「私はまるで生きる幽霊のようだ。生きているのに、公的には死んだことになっている。収入もないし、職にもつけない。何もできないんだ。妻を許せない」

ルーマニアの地元紙「adevaru」によると、レリウさんの妻は、死亡届を出した理由について「トルコで1999年8月に大きな地震が起き、たくさん犠牲者が出た。レリウも巻き込まれたのではないかと思った」と法廷で証言している。

一方、レリウさんは、妻は別の男性と再婚するために自分の死亡届を出したと考えていると、「adevaru」は伝えている。

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