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2020年03月12日 19時35分 JST | 更新 2020年03月12日 19時59分 JST

「最小の恐竜」を発見。想像図はどう見ても鳥、なぜ?

9900万年前の琥珀から発見されたオクルデントアビス。恐竜なのか鳥なのか調べてみました。

AFP時事
「最も小さい恐竜」とされるオクルデントアビスの想像図 (Photo by Zhixin Han / China University of Geosciences / AFP) 

「最小の恐竜が発見された」というニュースが3月11日、世界を駆け巡った。ニューヨーク・タイムズ毎日新聞などが報じている。

手乗りサイズのティラノサウルスでも見つかったのかと思いきや、想像図に描かれた動物は、羽を備えて空を飛んでいるではないか。これは鳥では……?

今回発見された化石は恐竜なのか。それとも鳥なのだろうか。調査してみた。

 

■琥珀の中から頭蓋骨が見つかる

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「史上最小の恐竜」の頭部が入った琥珀(AFP PHOTO /XING Lida / China University of Geosciences)

ミャンマー北部のカチン州で発見された9900万年前の琥珀の中に、2cm未満の頭蓋骨が入っていた。この動物について、中国科学院などの国際研究チームが3月11日、新属新種の「Oculudentavis khaungraae」と学名をつけたと科学誌「Nature」に論文を掲載した

Natureのニュースサイトによると、この動物の重さは約2グラム。世界最小の原生鳥類であるマメハチドリ(体長5~6cm)と同じサイズとみられている。小さなくちばしには数十本の鋭い歯が詰まっており、昆虫などを捕食したとみられる。大きな目が特徴的で、命名された属名のオクルデントアビスはラテン語で「目と歯の鳥」を意味する。

論文を執筆した中国科学院の古生物学者ジンマイ・オコナーさんはNatureに対して「この化石は、まったく新しい鳥の系統を明らかにしました」と述べたという。

 

■意外な事実。鳥類は恐竜だった。

ちょっと待った。これはスズメやペンギンなどと同じ鳥類であって、ティラノサウルスやトリケラトプスなどが知られる恐竜とは違うもののように見える。

調査チームが公開したオクルデントアビスの想像図を見ても、明らかに羽を持ち空を飛んでいる。

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「最も小さい恐竜」とされるオクルデントアビスの想像図 (Photo by Zhixin Han / China University of Geosciences / AFP) 

とはいえ、Natureの記事タイトルには「小さな鳥の化石は世界最小の恐竜かもしれない」と書かれている。

恐竜なのか鳥なのか、分類に戸惑ってしまうが、調べてみると近年の学説では「鳥類は系統学的には恐竜に含まれる」という見方が主流となっていることが分かった。

2018年の日本鳥学会誌67巻1号に「鳥類の起源としての恐竜と、恐竜の子孫としての鳥類」という論文が掲載されている。

鳥類学者の川上和人さんと、北海道大学総合博物館の江田真毅さんの共著による論文で、10ページに以下のような記述があった。

<最近は鳥類の起源は恐竜であるとの説が広く受け入れられている。このことは、鳥類は系統学的には恐竜の一部であり、恐竜は白亜期末に全ての種が絶滅したわけではないことを意味している。このため、従来「恐竜」と呼ばれていた鳥類以外の恐竜は「非鳥類型恐竜 non-avian dinosaurs」と呼ばれるようになってきている。>

鳥類は、系統学的には恐竜の一部。つまり「最小の恐竜」が鳥類でも矛盾はなかった。

「オクルデントアビスは恐竜であり鳥類」というのが、今回の結論になりそうだ。