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2019年10月16日 12時52分 JST

恩赦とは?「即位の礼」に合わせ55万人が対象に。過去には選挙違反者の“救済“で批判も…

罪が軽くなる? 「恩赦」が3分でわかる解説記事

時事通信社
国会議事堂=東京・永田町

天皇陛下が即位を国内外に宣言する「即位礼正殿(そくいれいせいでんのぎ)の儀」に伴い、「恩赦(おんしゃ)」が実施される予定だ。朝日新聞デジタルによると、対象規模は約55万人になる見込みいう。

「恩赦」とは、天皇陛下の即位など国家の慶弔時に、政府がすでに確定している刑事罰を特別に許したり、軽減させたりする制度のこと。世界各国で実施されている制度で、日本では奈良時代から導入されていたという。

恩赦制度とはいったい何なのか?

有罪判決を無効にする「大赦」、失った資格を回復する「復権」などに分けられる

法務省によると、恩赦とは、「①国の刑罰権を消滅させ、②裁判の内容を変更し、または③裁判の効力を変更もしくは消滅させること」。

恩赦の対象となる罪や刑を決めて一律に行う「政令恩赦」と、個別に審査する「特別基準恩赦」(個別恩赦の一つ)に分けられており、今回は「政令恩赦」が実施される予定だ。

恩赦は、以下の5種類に分けられている。

大赦(たいしゃ):有罪判決を無効にする。有罪判決が出ていない場合は、公訴権が消滅する。

減刑:刑の言渡しが確定した人の刑罰を軽くする。

復権:有罪判決を受けたことで失ったり、制限されたりした資格を回復する。

特赦(とくしゃ):特定の人たちに対し、判決の言渡しの効力を失わせる。

刑の執行の免除:刑の執行のみを免除する。

 

平成以降、3度の「恩赦」を実施

国立国会図書館の調査及び立法考査局は、「恩赦制度の概要」と題した資料で、日本やアメリカ、イギリス、フランスの恩赦制度についてまとめている。

資料によると、平成以降に実施された恩赦は3回。

1989年の昭和天皇の「大喪の礼」に際しては、政令恩赦として「大赦」(約2万8600人が対象)、「復権」(約1014万人)、「特別基準恩赦」(789人)が実施されたという。

1990年の上皇さまの即位に伴っては、約250万人が「復権令」、398人が「特別基準恩赦」の対象になったという。

1993年の皇太子さま(当時)と雅子さまの結婚時にも、恩赦は実施された。この時は政令恩赦は実施されず、特定の人が対象となる「特別基準恩赦」のみが行われたという。対象者の数は大赦90人、減刑246人、刑の執行の免除10人、復権が931人だった。

 

選挙違反者への「救済」で批判も

恩赦は、裁判所が判断した刑罰を行政が変更する制度であることから、三権分立に反していると指摘され、慎重に行われてきた。近年は道路交通法や軽犯罪法の違反など、軽微な犯罪に限定する傾向にある。

また、過去の恩赦では多くの公職選挙法の違反者が救済の対象となり、強い批判を受けたという側面もある。「復権」によって失った公民権が回復し、選挙権や被選挙権をただちに得られるというメリットがあるためだ。

1989年には約1万5000人、1990年には約5000人の公職選挙法違反者が「復権」の対象となり、「政治恩赦」などと非難を浴びたという。1993年も、対象者の約4分の3近くが選挙違反者だった。

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自民党の鈴木俊一総務会長は10月15日の記者会見で、今回の恩赦の対象者が約55万人になると発表。詳しい内容については現時点では発表していない。

共同通信によると、今回の恩赦では「大赦」や「減刑」は実施せず、有罪の言い渡しによって失った資格などを回復する「復権」にとどめる見通しという。18日の閣議で正式決定する予定だ。