化粧品容器のリサイクルはなぜ難しい?資生堂の循環型プロジェクトに、シャネルとファンケルが参画

プラスチック製化粧品容器の収集場所を拡大するほか、資源の循環を実現する製造試験は新たな段階へと移行するという。

化粧品メーカーの資生堂は、化粧品を中心としたグループ会社を統括するポーラ・オルビスホールディングスと共に、循環型プロジェクト「BeauRing(ビューリング)」を推進している。

2023年に実証試験が開始された開始された本プロジェクトでは、プラスチック製容器を収集し、再生する循環モデルを検証している。

同社は2025年9月26日、シャネルとファンケルが10月1日より本プロジェクトに参画することを発表した。

資生堂の循環型プロジェクト、新たな挑戦へ

2社の参画により、プラスチック製化粧品容器の収集場所(使用済みプラスチック製化粧品容器を収集する「BeauRing BOX」の設置場所)が現在の横浜市内20箇所から41箇所に拡大する。また、「BeauRing BOX」に投入できる化粧品容器は、資生堂、ポーラ、シャネル、ファンケルの4社の製品が対象となる。

BeauRingのプロジェクト内容
BeauRingのプロジェクト内容
資生堂

本プロジェクトでは、これまで収集したプラスチック製化粧品容器のリサイクル処理を、積水化学と住友化学との3社協業によるプラスチック製容器の循環モデルにて検証を進めてきた。これまでに、使用済みプラスチック製化粧品容器を再生エタノール化することに成功している。

今後は、再生エタノールから従来の化石資源を原料としたポリオレフィンと同等の品質を持つ「再生ポリオレフィン」の製造試験に移行するという。

※ポリオレフィン:エチレンやプロピレンなどのオレフィンを原料として重合(結合)して作られる高分子化合物の総称

なぜ化粧品容器のリサイクルは難しいのか

BeauRing BOX
BeauRing BOX
資生堂

化粧品容器は、中身の保護や使用感、デザイン性などの多様なニーズを満たす必要があるため、多種多様なプラスチックで作られており、それによりリサイクルの難易度が比較的高いことが特徴だ。

資生堂では、容器の素材選びにおいて複数種のプラスチックを使用しない単一素材での設計や、パーツ数の削減など、基礎研究や製品開発の各段階で地球環境への負荷軽減を意識した取り組みを実施し、この課題に対応しているという。

同社はプレスリリース内で「こうした資源循環の輪を広げ、生活者が化粧品を使用し、前向きにリサイクルに参加していただくことで、共にサステナブルな社会の実現を目指していきます」「今後は参画企業と連携し、店頭を通じて生活者にリサイクルへの理解を促す取り組みを進めるとともに、収集拠点の拡大やさらなる企業・自治体の参画を呼びかけ、化粧品業界で資源循環の輪が広がり、サステナブルな社会に貢献していくことを目指します」と声明を発表している。

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