国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)が11月10日、ブラジルで開幕した。
会場はブラジル北部のベレンで「アマゾンの玄関口」とも呼ばれる都市。アマゾンも気候変動の影響を大きく受ける中、ベレンには気候危機対策の鍵を握る各国の首脳や政府・団体関係者らが集まっている。
開会式でブラジルのルラ大統領は、「私たちは正しい方向に向かっているが、スピードが間違っている」とし、対策をさらに加速化していく必要性を強調した。
「気候変動は未来の脅威でなく、現在の悲劇」

ルラ大統領は開幕式のスピーチで、ブラジル南部の最近の洪水とカリブ海におけるハリケーン・メリッサの襲来を振り返りながら「気候変動は未来の脅威でなく、現在の悲劇」と指摘。
気候変動の影響で、世界各地の災害が激甚化し、多くの犠牲を生んでしまっている事実を強調した。
今年は「パリ協定」が採択されて、10年目の節目にあたるが、世界の平均気温は史上最高を更新し続けていて、2024年の世界の平均気温は産業革命前よりもすでに1.5℃を超えて上昇している。
誤情報と闘い、アクションに繋げる「真実と実行のCOP」
ルラ大統領はCOP30を「真実のCOP」、そして「実行のCOP」にすると明言。気候対策をめぐっては、誤情報が多く流布されており、米・トランプ大統領は「気候変動は起きていない」「対策は史上最大の詐欺」などと発言しCOP30も欠席している。
ルラ大統領はトランプ氏の名前を出さずに暗に批判し、科学に基づいた対策の重要性を指摘。「否定論者に決定的な敗北を与える時が来ている」と話した。
また、協定などを採択するだけでなく、きちんと実行に移すCOPにしなければならないとした。

猛暑や豪雨などが発生する背景には様々な要因がありますが、近年頻発化・激甚化している異常気象の背景の一つには、気候変動の影響があります。
気候変動の主な原因が、大量の温室効果ガス排出などの人間活動であるということは、科学的に「疑う余地がない」と言われています。熱中症や災害への警戒や対策を行うと同時に、気候変動を止める行動が必要不可欠です。
そのためには、国や企業の脱炭素化を急速に進めることが重要です。政策や企業行動に注目し、声を上げることも大切なアクションの一つです。個人でできることもあります。
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