2020年06月12日 09時59分 JST | 更新 2020年06月12日 09時59分 JST

私たちはクレジットカードを食べている?「100%海洋プラごみ」から生まれた腕時計が教えてくれること

スウェーデンのウォッチメーカー「TRIWA」は、ファッションを通じて環境保護のメッセージを届けています。

TRIWA

現在、世界中の海には1.5億トンものプラスチックごみが漂っている──その事実を知っていますか?

ビニール袋やペットボトル、包装容器...プラスチック容器包装ごみの1人あたりの排出量で、日本は世界ワースト2位という統計データもあります。(※1)

年間800万トンが海に流れ込んでいるとも言われるプラスチックごみは、海の生き物の命を奪ったり、生態系を壊したりするだけではありません。人間の体には、1週間になんとクレジットカード1枚分相当のプラスチック粒子が取り込まれている可能性もあるそうです。(※2)

海洋プラスチックごみをめぐる日本の現状と、そんな地球規模の問題を「腕時計」で解決しようとする北欧・スウェーデン発のプロジェクトを紹介します。

「環境先進国」と、「世界ワースト2位」日本の差は

環境活動家グレタ・トゥーンベリさんの出身地でもあるスウェーデンは、「環境先進国」「リサイクル大国」とも呼ばれ、ヨーロッパの中で、そして世界においても積極的に環境問題に取り組んできた国の一つです。

1960年代から環境問題を議論してきた同国は、2019年時点でSDGs(持続可能な開発目標)の達成率が世界156カ国中2位(日本は15位)。「2040年までに再生エネルギー発電100%達成」を掲げ、エネルギーの6割をグリーンエネルギーでまかなうほか、家庭ゴミの99%をリサイクルしているそうです。(※3)

Maskot via Getty Images
ストックホルムには、街の至る所に「容器リサイクルステーション」が設けられている。

一方で、日本はプラスチック容器包装ごみの1人あたりの排出量で世界ワースト2位。さらに世界経済フォーラムによると、環境問題への意識や分別の習慣、再処理技術の遅れから、世界中の海洋プラスチックごみのおよそ82%が日本を含むアジア諸国から流出しているという統計データもあります。日本を取り囲む海には、世界の海の平均と比べて27倍多いプラスチックごみが漂っているという調査結果も。(※4)

環境だけでなく、人体にも影響を及ぼすプラスチックごみの現状を、私たちは正確に知り、アクションを起こしていく責任があるのではないでしょうか。

「ファッションアイテムから社会問題を知って欲しい」

そんな中、スウェーデンで生まれたウォッチブランド「TRIWA(トリワ)」が海洋プラスチックごみ問題と向き合うための腕時計を発表しました。

その時計の名前は、“Time for Oceans”。世界中の海から集めたプラスチックごみを、100%リサイクルして作られた時計です。

「ファッションアイテムである時計という身近な物から、様々な社会問題を知るきっかけにしたい」という思いから、同社は2018年に“Time for Change”プロジェクトをスタート。その第一弾として、回収した違法銃器から生み出された金属(Humanium:ヒューマニウム)を使用した時計 “Time for Peace”コレクションを発表しました。その売上の一部は、紛争地域の復興や負傷した被害者救済のために寄付されています。  

“Time for Oceans”は、同プロジェクト第二弾のコレクションです。海を汚染するプラスチックをアパレルや家具、時計などの安全で有用な製品に変えるためのプラスチック再生技術を持つ、スイスの#tide ocean material社。同社の協力により、海を漂っていたプラスチックごみは太陽エネルギーでビーズ状になり、腕時計のストラップ、ケースに生まれ変わりました。

TRIWA
#tide ocean material社の協力により、全世界の海を漂っていたプラスチックごみは分別、粉砕、洗浄というプロセスを経てスイスに運ばれ、太陽エネルギーでビーズ状に。プラスチック素材を海洋で紫外線、海水にさらされる以前の強度まで生まれ変わらせる、画期的な技術だ。

TRIWA担当者は、「一般的に、プラスチックはリサイクルを重ねるほど脆くなると言われていますが、#tide ocean material社の技術により、耐久性・安全性を実現しました。太陽エネルギーを活用することで、素材だけでなく、その製造過程においても環境問題に貢献している時計です」と話します。

ケース、ストラップが100%海洋プラスチックから作られた「世界初」の腕時計は、そのデザインにも、海への思いと遊び心が込められています。

 

波をイメージしたダイヤルデザインと裏蓋デザイン、海面に浮かぶブイをイメージした針...。時計全体で海が表現されています。4色のカラーバリエーションも、海から連想されるseaweed (海藻)、 coral(珊瑚)、deep blue (紺碧)、 seal(アザラシ)という名前がつけられています。

「100%海洋プラスチックで時計を作ることで、私たちは海洋廃棄物のより有用な活用を行い、この問題に対して意識を高めることできると考えています。」

「もっと社会問題をフランクに、カジュアルに知って欲しいです。腕時計のデザインを気に入って身につけているだけで、結果的に社会課題の解決に貢献できるという商品を、これからも作っていきたいです」

海洋プラスチックごみが、ファッションアイテムに生まれ変わりました。私たちもファッションを通じて、環境保護を実践することができます。

「身に着ける」社会貢献、始めてみませんか? 

“Time for Oceans”は、日本でもアイ・ネクストジーイー株式会社(東京都品川区)により 2020年5月29日(金)に先行発売、2020年6月12日(金) に全国発売がスタートしました。