スポーツ観戦やコンサートなど、さまざまなイベントが開催される「アリーナ」。
エンタメにおいて「没入体験」がキーワードの1つとなるなど、体験価値を向上させるにあたって、音響や照明などのアリーナの充実した設備が「非日常」を演出するには欠かせない。
そうした中、トヨタアルバルク東京と、パナソニックエレクトリックワークス(以下、パナソニック)は6月中旬、東京・青海に2025年秋に開業する新アリーナ「TOYOTA ARENA TOKYO」について、パートナーシップ契約の締結を発表。本アリーナの概要やパナソニックが提供する最先端照明器具などについて聞いた。
2社合同で目指す「国際標準のアリーナ」

発表会には、トヨタアルバルク東京 代表取締役社長の林邦彦さんが登壇。本アリーナの概要について紹介した。
本アリーナの敷地面積は2万7千㎡で、収容人数は約8千人(コンサート)〜1万人(スポーツ)。主要用途としてはバスケットボールチーム「アルバルク東京」や「サンロッカーズ渋谷」のホームゲームに加え、各種スポーツやコンサートを予定しているという。アリーナ周辺にはadidasスポーツをはじめとした屋外施設が直結しており、最寄駅は東京テレポート駅や青海駅だ。
また、本アリーナは「エンタメ性の高いLEDビジョン」と「上質なホスピタリティサービス」に重きを置いているといい、林さんは「競技者重視の観戦ではなく『見る』を重点に置いたワクワクや熱狂できるような新しい観戦体験を目指す」と説明した。
アリーナの形状には全席から観戦しやすいオーバル型を採用し、全席にレザーシートを採用。スイートルームの「テラススイート」は全6部屋のデザインが全て異なり、さらにロッカールームからコートに向かう通路に隣接した「プレーヤーズラウンジ」からは本番前の選手たちを間近で見ることができるという。
本アリーナにおいて、パナソニックには「製品力と演出力、そして空間設計力を通じた、国内最大級スポーツ競技における豊富な経験に裏打ちされた提案と、エンターテインメントを向上させる付加価値の創出」を期待しているといい、本アリーナだけで体験できる音と光と映像による演出を通じた「圧倒的な没入観」の実現を共に目指すと説明した。
さらに「非常に力強いパートナーだという認識をしております。パナソニックさまとのパートナーシップのもと、誰もが夢見る舞台への成長、アリーナ周辺のにぎわいの演出に尽力してまいります」と期待感を強調した。
没入体験を提供する、パナソニックの総合演出ソリューション
続いて、パナソニックエレクトリックワークス副社長 マーケティング本部本部長の稲継哲章さんが登壇。今回の納入製品やソリューションの概要について説明した。
今回のパートナーシップに関して、稲継さんは「当社ではこれまで、他社が導入した機器と連動させた演出を実施してきましたが、今回はアリーナで初めて、演出機器を全て当社よりご提案及び導入します」と話し、同社初となる総合演出ソリューション(トータルソリューション)の展開に寄せる思いを語った。
続いて、本ソリューションを構成する「競技用照明」「映像装置」「音響設備」「総合演出システム」の4種類について、各担当者が説明した。

最先端照明器具は国際バスケットボール連盟(FIBA)の認証を受けた最新機器144台を導入しており、競技者のパフォーマンス向上と、観客に臨場感のある視認性を提供するとともに、運営面でも安心できる高い信頼性を実現しているという。
また、最新の照度基準(OFFICIAL BASKETBALL RULES 2020)にも準拠しているため、FIBA主催の国際大会開催を可能にするだけでなく、多彩なスポーツ興行に貢献できるという。さらに同社独自の3Dシミュレーションによって、競技者視点での徹底したまぶしさ対策と照射角度の最適化ができることも特徴だ。メインアリーナ外のアプローチやコンコースにも多彩な照明設備を設置、調光でスムーズに来場者を誘導する計画だ。

映像設備においては、国内アリーナ最大面積を誇る1000㎡超のLEDビジョンを設置。観客席からの見やすさを徹底したLEDビジョンは、3層構造のセンターハングビジョンと2層のリボンビジョンから構成されている。
音響設備は、世界のトップアーティストのツアーリングやアリーナ公演などでも使用されているスピーカーを採用。常設スポーツ用としては国内最大規模の音響設備で、会場全体に圧倒的な没入体験を届ける。
さらにアリーナ内の照明、映像、音響設備を一括制御できる総合演出システムを導入。これにより、試合進行に合わせた、一体感のある多彩な演出が可能となる。
こうした設備を最大限に活かした取り組みとして、本アリーナでは「アルバルク東京」が勝利した時にしか見られない特別演出も実施。来場者との一体感を醸成し、会場でしか味わえない特別な体験が期待される。

「TOYOTA ARENA TOKYO」は開業に向けて、順次オープニングイベント等の情報を公開している。新たなスポーツ観戦やエンタメの形を提案する本アリーナに、今後より多くの注目が集まりそうだ。