6月24日の衆議院本会議の議題は、「憲法59条第2項に基づき、衆議院小選挙区選出議員の選挙区間における人口較差を緊急に是正するための公職選挙法及び衆議院選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の本院議決案を議題とし、直ちに再議決すべしとの動議」。
この動議が可決され、それに続いて、0増5減法に基づく区割り法案が衆議院で再議決され成立した。
今回、再議決された法案について、どうも議員の中に誤解している者もいるようだ。
民主党から反対討論に立った議員など、議論を聞いていると、完全に法案について誤解しているとしか思えない。この法案は、すでに成立している0増5減法の、選挙区の区割りを確定させる法案だ。
2009年の総選挙で、一票の格差が2.3倍に広がったことを受けて、2011年に最高裁が違憲状態であるとの判決を出した。
それを受けて、昨年11月16日、解散の日に、民主党、自民党、公明党、みんなの党、維新の会などが賛成して、0増5減法が成立した。
しかし、その日に衆議院が解散されたため、区割りが間に合わず、昨年12月の総選挙では格差が2.43倍にまで広がり、各地の高裁で、違憲あるいは選挙無効といった厳しい判決が繰り返されてきた。
その間に、衆議院選挙区画定審議会では、成立した0増5減法に基づいて、政治的な意思を加えない、事務的な区割りの見直し作業が行われてきた。
つまり、高知、徳島、福井、山梨、佐賀の5県の小選挙区の議席を3議席から2議席に減らすと同時に、人口の多い選挙区の区割りを変更し、17都県42選挙区の区割りが見直された。
再議決で成立した法律は、その区割りを確定する法律だ。
民主党は、野田政権の時に成立させた0増5減を実現するためのこの区割り法案に、反対した! 意味不明だ。
また、みんなの党は、すでに成立した0増5減法に基づく区割りの議論をしているときに、18増23減法案なる新たな法案を参議院に提出した。
これはまず、衆議院の選挙制度を改正するにあたっては、衆議院でまず議論するべきであり、衆議院の選挙制度改正を参議院に提出して参議院でまず議論するというのは、完全なルール違反だ。
しかも、0増5減というルール改正はすでにみんなの党も賛成して成立し、その区割りを決めるという法案の審議をしているときに、新たなルール変更を持ち出すというのは、どういうことか。
この区割りが確定したことにより、一票の格差が2倍以内になり、違憲が解消されることになる。
新聞の中には、現状では2倍を超えることになると報道しているところもあるが、人口は常に変わっているので、「現状では」と言い出したら、毎月のように区割りが変更されることになる。
だから、選挙区の区割りは10年に一度、国勢調査の数字に基づいて確定する。
今後、選挙制度の議論は、定数削減、抜本改革の議論になる。
(※この記事は、2013年6月25日の「河野太郎公式ブログ ごまめの歯ぎしり」より転載しました)