見ていてくれ、一本松 陸前高田で立ち姿よみがえる
東日本大震災の津波に耐えた岩手県陸前高田市の「奇跡の一本松」で8日、復元工事のために周囲を覆っていた足場が取り外された。枯死した一本松が保存のために切り倒されてから約9カ月。美しい立ち姿がよみがえった。
高さ20メートルまで覆っていた足場の撤去作業が朝から行われ、午後3時40分ごろ完了した。多くの人が撤去作業を見守り、同県遠野市から家族で訪れた釘抜(くぎぬき)由紀夫さん(45)は「何もない周りの風景に驚いた。この場所に立つと、一本松は残すべきものだなと感じました」。
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陸前高田の名勝・高田松原には震災前、7万本の松があったが、高さ13メートルを超す津波の直撃でなぎ倒され、唯一残ったのが一本松だった。津波を受けてなお立ち続ける姿が、被災者にとって希望の象徴とされた。戸羽太市長は「被災から街が復活していくことが奇跡としか思えなかったが、その奇跡を信じさせてくれた」と話す。復興に向けた歩みの中で、被災者の心の支えになることを期待しているという。【杉村和将】
(朝日新聞社提供)
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