プロ野球統一球こっそり変更 加藤コミッショナー「不祥事ではない」

プロ野球で使われている統一球が、公表されないまま昨シーズンより飛ぶように調整されていることがわかった。日本野球機構(NPB)は12日夜、記者会見を開き、事務局の独断だったと説明。朝日新聞デジタルによると、加藤良三コミッショナー(71)は「調整されていたことを全く知らなかった。不祥事を起こしたとは思っていない」と主張した。加藤コミッショナーの会見での主な発言内容は次の通りだ...
時事通信社

プロ野球で使われている統一球が、公表されないまま昨シーズンより飛ぶように調整されていることがわかった。日本野球機構(NPB)は12日夜、記者会見を開き、事務局の独断だったと説明。朝日新聞デジタルによると、加藤良三コミッショナー(71)は「調整されていたことを全く知らなかった。不祥事を起こしたとは思っていない」と主張した。

加藤コミッショナーの会見での主な発言内容は次の通りだ。

・統一球の変更について

「私はきのう(11日)まで全く知らなかった。事務局からそういう説明はなかった。意思疎通を欠いていた」(時事ドットコム 2013/06/12 21:54)

・隠蔽との指摘について

「隠蔽との意図はなかった。混乱を避けるという意図だった。ただ結果として、隠蔽していたじゃないかという報道されていたことは承知している。これは私のガバナンスに対する監督不十分でだったと反省している」(FNN 「プロ野球「統一球」変更問題 日本野球機構コミッショナーが謝罪」2013/06/12 21:16)

「本来なら公表すべきこと。もし私が事実を知っていたら公表していたと思う」(時事ドットコム 2013/06/12 21:54)

・進退について

「これは不祥事ではない」

「まずはガバナンス(組織統治)の強化に努めたい」(時事ドットコム 2013/06/12 21:54)

このように、加藤コミッショナーは「不祥事ではない」と断言し、辞任の意向がないことを表明している。

●「よく飛ぶ」噂、4月に否定

「『今シーズンのボールはよく飛ぶ』。そんな噂が、プロ野球選手やコーチの間で「都市伝説」のように広がっている」――。朝日新聞デジタルがこう報じたのは4月16日。1試合あたりの本塁打数の平均は今シーズンは0.65本で昨シーズンの0.51本よりやや多かった。NPBやミズノ社の担当者は朝日新聞の取材に対し、次のように答えている。

日本野球機構(NPB)は「統一球の仕様変更はない」と明言している。

(中略)

ミズノの広報宣伝部は「仕様を変えたということは一切ない。製造や保管方法を含めて同じ。飛びやすいという声について、メーカーの立場からは何とも言えない」と困惑気味だ。

(朝日新聞デジタル「(FOCUS)「今年の統一球は飛ぶ」球界の噂に迫る」2013/4/16)

実際には、NPB事務局が統一球を製造するミズノ社により飛ぶような仕様に調整するよう指示をしていた。だが、各球団や選手会には説明はなく、統一球が変更していたことを隠していた。朝日新聞デジタルによると、ミズノ社に「混乱しないよう、調整したことは公表しないでほしい」と要請していたという。

なぜ、統一球は変更されたのか

プロ野球の統一球は2011年に導入され、NPBはミズノ社と契約を結んだ。それまでは、12球団がそれぞれメーカーと契約していた。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で使う大リーグの公式球に近づけるために、加藤コミッショナーが統一球の導入を提唱した。

今シーズンの統一球が昨シーズンと異なるのは、ゴム材の素材。産経ニュースによると、ボール芯のコルク材を覆うゴム材の配合を変えることで、昨年より飛ぶボールになった。

プロ野球の使用球の反発係数は、0.4134~0.4374に収まるように定められている。2011年の導入時、統一球は下限の0.4134を目指していたが、それを下回るものがあったため、今季の球は目標を0.415~0.416に設定。時速144キロの球を126キロのスイングで打ち返し、打球の角度が27度だった場合、飛距離が約40センチ伸びるという。(産経ニュース 2013/6/12 23:41)

●加藤コミッショナーとは

現在の統一球には「加藤良三」の名前が刻印されている。加藤コミッショナーとはどういう人物なのだろうか。

NPBのホームページによると、加藤コミッショナーは元駐米大使。1965年外務省入省後、アジア局長や総合外交政策局長、外務審議官などを歴任。駐米大使後、2008年7月からNPBのコミッショナーを務めている。

2011年3月の東日本大震災を受け、東京電力と東北電力管内でのナイター開催の自粛を文部科学省などから求めれた際には、「私は野球に誇りを持っている。今の時期に野球をやることは不謹慎だとは思わない。SMAPだって何だって、仕事をするんだと言っていた。野球が仕事なんだ」と述べたと日刊スポーツが報じている。

●「知らなかった」?

加藤コミッショナーは、統一球の変更を「知らなかった」と繰り返した。しかし、事実を知らなかったことは問題ではないのだろうか。米メジャーリーグで活躍するダルビッシュ・有選手は次のようにツイートしている。

知らない事はないでしょう。てか知らない方が問題でしょ。。RT @sgttkhr0 @faridyu ついにNPBが統一球の反発係数を変えてたこと認めましたね!コミッショナーは全く知らなかったとしらをきってますが、、、ところで、f

— ダルビッシュ有(Yu Darvish)さん (@faridyu) 2013年6月12日

名前まで入れて、中身知りませんはなぁ。。RT @koumenohaha @faridyu 統一球にはコミッショナーのお名前が入っていますが、日本時間12日夜の

— ダルビッシュ有(Yu Darvish)さん (@faridyu) 2013年6月12日

産経ニュースは、会見の説明では、統一球がより飛ぶように調整されていたことは12球団にも報告されず、コミッショナーにも相談せずに事務局だけで決めたことになると指摘。「NPBで、統一球の変更を知っていたのは全部で3人という」としている。

NPBや加藤コミッショナーの対応について、様々な意見が出ている。

<日本プロ野球選手会・嶋基宏会長(楽天)>

「何も知らされずに今までプレーしてきたのが寂しい。一方通行ではなく、お互いに話し合って答えを出すことが球界にとって大事」

(産経ニュース 2013/6/12 19:28)

<田中将大投手(楽天)>

「国際試合に違和感なく入れるように(統一球を)始めたはず。WBCと日本の球は全然違った。しっかり変えた方がいい。論点がずれている」(産経ニュース 2013/6/12 19:58)

<中畑清監督(DeNA)>

「トップの人(コミッショナー)がきちっと説明する必要がある。このままあやふやに終わってはいけない」(産経ニュース 2013.6.12 18:47)

<野球に詳しい漫画家・やくみつるさん>

「不祥事ではない」というコミッショナーの発言を問題視する。「球が飛ぶ飛ばないで解雇になった選手もいるかもしれない。『不祥事ではない』とは口が裂けても言えない。このまま役職に居座ることは許されない」(朝日新聞デジタル 2013/6/13)

<日本バスケットボール協会・新リーグ運営本部副本部長の山谷拓志さん>

「ボールは球技の根幹。変えるのなら、リーグ、選手、チーム3者のコンセンサスが必要。情報開示をしなかったことは問題」(朝日新聞デジタル 2013/6/13)

皆さんはNPBや加藤コミッショナーの対応をどう思われますか。今後、どうするべきだと思われますか。ご意見お聞かせください。

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