超大型の台風7号の接近に合わせて台湾でGoogle災害情報がスタート―オープンソースの災害情報データベースを構築
台湾は今週金曜日にも超大型の台風7号ソーリック(Soulik)に襲われると予想されている。この台風の襲来に合わせて、昨日、Googleは台湾向け災害情報(Public Alerts)サービスをローンチした。このページには台風の進路や洪水、避難指示などに関する情報が表示される。またGoogle検索、Googleマップ、スマートフォン上のGoogle Nowでも同様の情報が提供される。.
Google.orgのエンジニアリング責任者、Eric Chuによれば、台湾向けGoogle災害情報が台風7号の接近の数日前にスタートできたのは偶然だという。Googleは夏の半ばから秋にかけての台風シーズンに間に合わせるようと計画していた。Google.orgの目標は、 CAP(Common Alerting Protocol)のような災害情報公開の国際標準やKML(Keyhole Markup Language)のような地理空間情報提供のマークアップ言語の採用を台湾政府に働きかけることだ。
2011年の日本の震災をきっかけにGoogle.orgの危機対応チームは自然災害に関する公式情報の収集と共有のためのプロセスの確立に向けて動き始めた。これまで、政府機関はPDFやjpgのようなサードパーティーの利用や分析が難しいクローズドなフォーマットで情報を発表しがちだった。
アジアにおいて災害情報が提供される国としては、台湾は日本に次いで2番目だ。 Googleがオープン・データ・プラットフォームによる災害情報の提供を始めたにはアメリカが最初で2012年1月のことだった。続いてサービスはカナダでも公開された。
2009年に台湾南部の住民は、台風8号Morakotが予想外に強力だったため不意をつかれるかたちとなり、500人もの死者を出した。この際、政府の対応の遅さに激しい非難が集まった。特に被害がひどかったのは農村部で、村ごと地すべりで流される例もあった。
その結果、台湾の中央気象局(CWB)は気象観測の改善と予報の迅速化を約束することになった。 Chuによれば中央気象局は今回のGoogle災害情報においても主要なデータ提供元になっているという。情報はまた水資源局、土壌、水保全局、高速道路総局などからも提供されている。こうした行政機関からの全面的協力が得られたため、台湾におけるGoogle災害情報は9ヶ月で完成した。
台湾にはSMS、ラジオ、テレビなどを通じた災害情報提供の仕組みがすでに存在し、特にインターネット・アクセスが十分ではないへんぴな地方では依然として主役になる。しかしChuは「オープン・データ標準を採用したGoogle災害情報は政府・公共機関が災害対策を迅速に進める上で大きな効果があるはずだ」と言う。
Google.orgは他国でも政府・公共機関の協力を得て“台湾のような災害情報ネットワークの確立に努めていくという。
〔日本版:Google災害情報は全画面表示にすると全世界が表示される。日本と台湾が1グループ、アメリカとカナダが1グループとなっている。 Googleジャパンの災害に対する取り組みはこちら。CAPについては日本IBMのサイトに詳しい記事がある。〕
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(翻訳:滑川海彦 FacebookGoogle+)
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