セレウス菌感染 国立がん研究センターで入院患者2人死亡、食中毒に注意

国立がん研究センター中央病院(東京都中央区)は22日、入院患者13人がセレウス菌に感染し、うち男女2人が死亡したと発表した。感染と死亡の因果関係は不明という。

国立がん研究センター中央病院(東京都中央区)は22日、入院患者13人がセレウス菌に感染し、うち男女2人が死亡したと発表した。感染と死亡の因果関係は不明という。時事通信が伝えた。

病院によると、6月17日~今月21日、進行性のがん治療を行う入院患者13人が発熱などの症状を訴え、男女2人が今月、死亡した。7人は改善、4人は治療中で、いずれも血液中からセレウス菌が検出された

がん研究センターによると、13人は全員が同じ病棟ではないという。一般的に、がんの治療で抗がん剤などを使うと、抵抗力が落ち、感染症にもかかりやすくなる

これまでの調査では、患者の体を拭くための未使用のタオルなどからセレウス菌が検出されたということで、病院では、院内感染とみて詳しい感染経路や死亡との因果関係について調べている

会見した国立がんセンター中央病院の荒井保明院長は、「院内で感染が多発したことは、大変遺憾です。感染源や感染経路はまだ特定できていないが、調査を行って適切な対応をとっていきたい」と話している

■ セレウス菌食中毒発生で食堂を営業停止

また、高知市の学生寮でもセレウス菌による食中毒が発生し、食堂が営業所停止処分となっている。

RKC高知放送によると、営業停止処分となったのは高知市の高知学園の学生寮「登龍館」の食堂。高知市保健所によると、8月17日、20歳から60歳までの男女7人が高知市でキャンプ中に登龍館で調理して配達された弁当を食べて嘔吐や下痢などの症状を訴え、このうち3人が病院を受診した。現在は回復している。保健所では調理後に室温で放置しないことや作り置きを避けるよう呼びかけている。

セレウス菌は、土壌中や穀物、香辛料などに広く存在する。食品中で増えて毒素を作り、嘔吐や下痢を伴う食中毒の原因になる。熱にも比較的強く増殖力も強い。乾燥したり周囲に栄養が少なくなったりすると芽胞という状態になり消毒が難しくなる。感染者の免疫力などが落ちていると敗血症を引き起こすことがある。

胞子は、加熱調理しても生き残り、その食品を長時間、室温に放置すると、胞子が発芽・増殖し、これを食べると発症する。発症するのは、摂取後12時間くらいで、吐き気がして、腹痛、下痢が起こるが、発熱はまれで、ふつう半日くらいで自然に治る。症状が強ければ、医師の診察を受ける必要がある

大阪府のホームページ「食中毒は熱に強い?-セレウス菌、ウエルシュ菌食中毒について」によると、原因となる食品として、米飯及び焼き飯等米飯の加工品、スパゲティ、肉類、スープ類、焼きそば、プリンなどを挙げている。

また、以下のような予防法を挙げている。

  • 食材はよく洗浄してから使用する。
  • 加熱前の下ごしらえ済み食品は長時間の放置を避け、冷蔵(10℃以下)で保管する。
  • 調理した食品はすぐに食べる(調理後から食べるまでの時間を短くする)。
  • 加熱後の食品を保管する場合は、冷蔵(10℃以下)で。
  • 焼き飯やスパゲティなどを、翌日再調理して食べることは避ける。

(大阪府「食中毒は熱に強い?-セレウス菌、ウエルシュ菌食中毒について」より)

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