小泉純一郎元首相は10月29日、東京都内で社民党の吉田忠智党首と会談し、「脱原発」に向けて意気投合したが、同党との連携は否定した。小泉氏は「それぞれの党が脱原発に向けて努力すべきだ。自分も主張を続けていく」とやんわりと断った。「脱原発」政治勢力の結集についても「新党を作る気はない」と政治的な動きから距離を置く考えを改めて示した。
小泉氏は首相在任当時は原発推進派だったが、今年8月にフィンランドの核廃棄物処理場「オンカロ」を訪れて以降、「 核のゴミの処分場のあてもないのに原発を進める方がよほど無責任」などと「原発ゼロ」を強く訴えている。党勢が衰える社民党としては、根強い人気がある小泉元首相との連携をアピールしたかったが、思惑通りには進まなかった模様だ。
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会談後に吉田氏が明らかにしたところによると、予定をオーバーし45分あまりに及んだという。又市征治幹事長も同席した。吉田党首によると、福島第一原発事故の前から「脱原発」を主張している社民党として、小泉元総理は「原発ゼロ」という「勇気のある決断をした」として評価。小泉元総理の「政府が政治決断すれば原発ゼロにできる」という主張に対して「私どもと全く考え方が同じですから共感を覚えた」と話していた。
ニコニコ生放送によると、記者団とのやり取りでは、以下のような発言が出た。
—党首の方から「脱原発」に向けての協力の要請は?
吉田党首:「これから連携していきましょう」と申し上げましたが、小泉元総理としては、あくまでもそれぞれの主張する政党が、しっかりと脱原発に向けて努力をしていくべきだと。小泉元総理としても、これから自分でその主張を続けていきたいと(言いました)。「世論を動かすことで、必ずや政府が脱原発に向けた政治決断ができる」と、そういう話をおっしゃいました。
又市幹事長:あんまり政治的な利用されるようなことはあってはならないという思いがあったようで。そういう意味で「私は政治的に発言しているつもりは全くない」と。一部に「新党を作るんじゃないか?」という声もあるが、「全く心外だ」と。
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