フィリピン台風で旧日本軍のトンネルに避難、24人無事

台風30号で多数の死者が出たフィリピン中部レイテ島で、太平洋戦争中に旧日本軍がつくった地下トンネルに24人が避難し、助かっていたことがわかった。地元住民にとって忌まわしい占領時代の遺物が、シェルターとして役だった。

旧日本軍のトンネルに避難、24人無事 フィリピン台風

台風30号で多数の死者が出たフィリピン中部レイテ島で、太平洋戦争中に旧日本軍がつくった地下トンネルに24人が避難し、助かっていたことがわかった。地元住民にとって忌まわしい占領時代の遺物が、シェルターとして役だった。

レイテ島中部ブラウエン。倒れたココナツの木が並ぶガマイ村の山の斜面に、高さ約2メートル、幅約1・5メートルの穴が二つあいている。コの字形の地下トンネルの入り口と出口だ。内部はコンクリートで固められ、暗く、ひんやりとしている。長さは25メートルほどで、途中に2畳ほどの部屋が二つあった。

フロレンシオ・イチョン村長(62)によると、旧日本軍が占領時代につくったもので、米軍との戦闘の前線拠点などとして使われていた。

台風が上陸した11月8日朝、周囲から人々がトンネルに集まりだした。様子を見に来た近所の女性(30)によると、暴風で屋根がなくなった家の住民ら計24人だった。トンネル内には雨も風も入り込まず、住民らは台風が去るのを待って自宅に戻ったという。

イチョン村長(62)の父は抗日ゲリラだった。旧日本軍の話を父から聞いており、「トンネルは恐ろしい時代を連想させる存在だった。それが村人の命を救うとは」と複雑な表情を浮かべた。

(朝日新聞社提供)

関連記事

注目記事