保守派として知られるラジオパーソナリティのグレン・ベック氏はかつて、医療保険制度改革(通称オバマケア)が施行されれば「アメリカの繁栄は終わりだ」と語った。しかしこれまでのところ、オバマ大統領が2010年に成立させた医療保険制度改革法のおかげで、アメリカ人たちは少しリッチになった模様だ。
「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙の記事によれば、医療制度改革の影響で、2014年1月の米個人消費および個人所得は予想以上に伸びた。そして、個人所得増加分の4分の3は、オバマケアに基いた給付金によるものだという。
異例とまではいかないものの、この伸びは大きい。米商務省経済分析局の発表(PDFファイル)によると、2014年1月の個人消費(452億ドル)は前月比0.4%増、個人所得は前月比0.3%増(439億ドル増)だった。12月には連邦政府による長期失業者向け失業保険給付制度が終わり、1月には記録的寒波が襲ったにもかかわらずだ。
オバマケアの施行は、なぜこのような伸びをもたらしたのだろうか。ひとつには、法案の重要側面であり、何かと議論を呼んだメディケイド(低所得者向け公的医療保険)の適用が拡大され、今年1月には給付金がおよそ190億ドルにまで増大したことが挙げられる。加えて、健康保険加入者に対する税額控除が実施されたことで、さらに150億ドル近くが支給された、と経済分析局は述べている。
こうした2つの改革によって医療費が浮いたおかげで、多くのアメリカ人が消費に走ったというわけだ。
オバマケアの導入がこうしたメリットが生んだことで、「オバマケアが経済成長を阻む」という意見には疑いが生じている。
1年前を思い出してほしい。いわゆる「財政の崖」をめぐる連邦議会での戦いが、ブッシュ政権から続いていた所得税減税の期限切れという形で決着して年が明けた。その結果、2013年1月の個人消費および個人所得ともに、何年ぶりかで何パーセントも大きく落ち込む事態となった。米ABCニュースの記事が伝えた税調査機関「タックス・ポリシー・センター(Tax Policy Center)」の調査結果によると、当時の税の引き上げによって、全体的に見て、労働者ひとりあたり平均で700ドルの増税となったとされている。経済全体にとっては、どちらが望ましいのだろうか。
[Kevin Short(English) 日本語版:遠藤康子/ガリレオ]
ハフィントンポスト日本版はFacebook ページでも情報発信しています。
ハフィントンポスト日本版はTwitterでも情報発信しています。@HuffPostJapan をフォロー