国土交通省近畿運輸局は4月22日、格安営業を続けるタクシー事業者に対し、低運賃を是正するよう勧告する方針を固めた。対象業者に文書で勧告するという。47NEWSが報じた。
近畿運輸局は同日、各社に文書で15日以内に是正するよう勧告。23の内訳は京都15、大阪6、兵庫、滋賀が各1で、うち16事業者は個人タクシー。是正しない業者には、強制力のある運賃の変更命令を出す。それでも応じない場合は車両の使用停止の行政処分が下される見通し。
(47NEWS「タクシー低運賃に勧告へ 23事業者に近畿運輸局」より 2014/04/22 12:12)
タクシー運賃は2014年1月に法律が改正され、4月からの初乗り運賃(中型車)の下限が、京阪神では600円以上に引き揚げられた。しかし、大阪などでは初乗り500円の「ワンコインタクシー」が人気を博しており、4月以降も営業を続けていたという。
今回の法改正は、運転手の賃金の低さや過労による事故防止を図るためとされている。しかし、4月は消費税の増税開始とも重なり、客離れも心配されていた。
そのため、値上げに反対する事業者も存在。京都などで営業するMKタクシーは、「(公定幅では)最大27%もの大幅な値上げを余儀なくされ、お客様へ多大なご負担をお掛けすることとなります」として、消費増税分のみの値上げ運賃を発表していた。同社によると、18日まで近畿運輸局から3回にわたって指導があり、22日には「勧告書」を交付するので運輸支局に出向くよう言い渡されたという。
文書勧告の後は、弁明通知や運賃変更命令などの処分へと進むとみられるが、MKタクシーは命令が出るのは2〜3カ月後とみており、「行政指導が出たら、対応を検討する」と強気の姿勢だ。河北新報によるとMKタクシーは、国による運賃幅の設定は企業努力を阻害するとして、法的措置も含め対応を検討しているという。
なお、MKタクシーはかつて、国を相手に運賃の値下げを訴えて提訴。1985年には全面勝訴し、1989年に和解している。