2014年5月に軍部によるクーデターが起きたタイで、在任中にコメ買い上げ制度をめぐり国に多額の損失を与えたとして暫定議会が1月23日、インラック前首相の弾劾決議を可決した。政治活動が5年間禁止され、民政移管に向けて2016年にも予定される総選挙に立候補できなくなった。NHKニュースなどが報じた。
タイのインラック前政権は、支持基盤である農家を支援しようと、政府が市場価格よりも高くコメを買い取る支援策を実施しましたが、日本円で1兆円余りもの損失を出し、汚職も起きたとして大規模な反政府デモが起こる一因となりました。
国家汚職防止委員会は「支援策をやめず、国に損失を与えたのは職務怠慢だ」として、インラック前首相を弾劾するよう暫定議会に求め、タイの暫定議会は23日、弾劾決議の採決を行い、賛成多数で可決しました。
(タイ インラック前首相の弾劾決議可決 NHKニュース 2015/01/23 18:14)
暫定議会(国民立法議会)はクーデターで全権を握った軍部が任命した機関で、事実上、軍部の思い通りになる。
これに対してインラック氏はFacebookに声明を出し、「タイの民主主義は法の支配と共に死んだ」と弾劾決定を批判した。また、検察当局が23日、この問題でインラック氏を起訴すると決定。有罪となれば、最長10年の実刑判決が出る可能性もある。
インラック氏はこれについて「身の潔白を証明するため最後まで闘う」と強調した。インラック氏の人気は今も高く、支持者から反発の声が高まることが予想される。
タイでは長年、インラック氏の兄のタクシン元首相派と反タクシン派が対立しており、可決により暫定政権が掲げる「国民和解」の実現が一層、難しくなると見られている。
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