ジャーナリストの池上彰氏が、4月24日付の朝日新聞朝刊に掲載された自身のコラム「新聞ななめ読み」で、自民党がテレビ朝日とNHKの幹部を呼び出したことについて「自民こそ放送法違反では」と疑問を呈した。
放送法の目的は第1条に書かれ、第2項は次のようになっています。「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること」
つまり、「表現の自由」を確保するためのもの。放送局が自らを律することで、権力の介入を防ぐ仕組みなのです。
この点に関しては、さらに第3条に明確化されています。「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない」(中略)
自民党には、「法律に定める権限」がありませんから、放送局に対して干渉することはできないのです。その意味では、自民党の事情聴取こそが放送法違反になりかねない行為だったのです。
((池上彰の新聞ななめ読み)テレ朝・NHK聴取 自民こそ放送法違反では:朝日新聞デジタル 2015/04/24 05:00)
池上氏はまた、放送法について、戦争の宣伝に加担した戦時の放送への反省から「放送局が権力から独立したものになるような仕掛けにした」と説明している。
この問題は、自民党情報通信戦略調査会が17日、テレビ朝日とNHKの幹部を党本部に呼んで放送内容に関する事情聴取をしたもの。調査会が問題にしているのは、テレ朝の「報道ステーション」でコメンテーターの元官僚、古賀茂明氏が「菅官房長官をはじめ、官邸のみなさんにはものすごいバッシングを受けてきた」などと発言したことと、NHKの「クローズアップ現代」で「やらせ」があったと指摘されていることだ。
自民は、テレ朝の社内検証が不十分だと判断した場合、NHKと民放で作る第三者機関「放送倫理・番組向上機構」(BPO)に申し立てることも検討するとしている。またNHKは、指摘された番組についてBPOに報告する考えを示している。
池上氏はコラムの冒頭、「これが欧米の民主主義国で起きたら、どんな騒動になることやら」と書き出し、「言論の自由・表現の自由に対する権力のあからさまな介入であるとして、政権基盤を揺るがしかねない事件になるはずです」と厳しく指摘した。
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