性格検査「ロールシャッハ・テスト」が、現代の心理測定ゲームに与える刺激とは?

1920年代の心理測定学ツール「ロールシャッハ・テスト」で使われるコウモリのようなシルエットには、何か悪霊的で脅すようなものがある。
Rorschach Ink Blot
Rorschach Ink Blot
Zmeel Photography via Getty Images

1920年代の心理測定ツール「ロールシャッハ・テスト」で使われるコウモリのようなシルエットには、何か悪霊的で脅すようなものがある。

この醜悪で擬人化された形状はポップカルチャーが最も好み、バットマンやウォッチメンの中でアンチヒーローたちを特徴づけるために使われてきた。それは目まいがするような音楽ビデオの中に現れ、最新流行のデザイナーたちにとってオシャレなプリントに変わる。

しかし、テストの間、無作為にインクで書かれたスライドの集まりで自分の健全さを測るように言われたとき、そのコウモリを見た多くの人は、おそらく心理学者の部屋にいるという恐怖と不安に彩られていた。

テストは現在もまだ使われている。オーストラリアではまれに見られるだけではあるが、それらは心理測定テスト分野の基礎を形作った。現在は、潜在意識を開放するためのテレビゲームや採用ツール、会話を促進するものなど、様々に応用されている。

ニューカッスル大学の心理学・精神医学講師マイルズ・ボア博士は、ハフポストにこう話した。テストは、スイスの心理分析学者ハーマン・ロールシャッハによって設計されたのだが、精神分析学の父、ジークムント・フロイトがリードしてきた潜在意識についての研究結果を反映したものだった。

「感情や意図を完全に欠いたイメージを作るという発想でした。そうすることで、人々がそれを見たとき、彼らが自分自身の深層にある願いや欲望を投影するという発想でした」と、ボア博士は述べた。

1985年、テストを受ける少年(Getty Images)

「それは潜在意識についてのフロイト派の考えを基礎としていて、自分自身の心の内を、彼らをそう仕向ける素材なしに、人々に投影させる方法を見出そうとするものです」。

「それが、その点の集まりが完全に無作為であった理由です。彼はいくらかのインクを紙の上にはねかけて、それを半分に折り、ぐしゃっと潰し、乾かしました」。

ボア博士はそう述べた。彼はそのテストを支持しなかったが、それが注目されることになって問題が発生した。

「テストの解釈は私を心配させるものです」と、ボア博士は述べた。

確かに、そのテストは精神分裂症やうつ病、そしてあらゆる精神疾患の徴候を見るために使われた。

考案された1920年代から1960年代にかけ、テストは一般的に使われていた。2000年には、「社会事業違反者の発展」と呼ばれた研究で心理学者の20%がまだテストを使っていたことが分かったのだが、いくつかの異なる評価システムが様々な人々とグループによって考案された。

オリジナルスライドのひとつ(Picture: Gettystock)

現在、テストでいかに欺いて逃れるかを人々に紹介するいくつかの専用フォーラムがある。

これらフォーラムの重要なポイントは、イメージの中心に集中し、周りにはねたものに固執しないよう求めている。その他、インクの中の動く形を見ることや、イメージに強い感情的反応を持つことなどを警告している

そして現代、オーストラリアでロールシャッハテストは一般的に使われていないが、心理測定テストの分野は急速に成長している。それは、標準化されたテストを通して個人の精神的受容力と弾力性を測るものだ。

ブリスベンにある心理測定テスト企業「レベリオン」のCEO、シェリー・カーチスは、テストは大きな進歩を遂げたと話す。

「ロールシャッハのようなテストはとても不可解で、ほとんど邪悪な芸術として見られています。それは現在、心理測定がとても科学的であるからです。それはデータと、ヒューマンエラーを取り除く複雑なアルゴリズムを基礎としています」と、カーチスは述べた。

「心理測定テストは採用活動、つまりある役割や組織文化に対する志望者の適応性を見極めるために使われています。それはまた、自分自身と、自己の持つ強み弱みをよく理解する方法としてのタレントコーチングにも使用されています」。

カーチスは「私の会社はテレビゲームテストを開拓してきて、それはとても人気がありました。ゲーム様式ではない別のテストを作ることは考えられませんでした」と述べた。

「私たちは信じられないような反応を得ました」と、カーチスは述べた。

「伝統的な記述式の心理測定テストがふさわしい場所は、常に間違いなく存在します。しかし、このゲームへの私たちの反応はとても前向きなもので、私たちが何か他のことをしていることは想像できません」。

ゲームでは、参加者はテーマパークのオーナーとして設定される。参加者がウォーターパークのデザインや乗りもの券の選択について意思決定すると、そのゲームは、それぞれの意思決定の結果と、意思決定に要した時間についての指標を記録している。

「それは複数のデータの流れを捕らえていて、信じられないほどの洞察を提供しています。しかし、人々は楽しんでもいます。つまり、彼らが少しですが、よりリラックスしていることを意味します」と、カーチスは述べた。

「まずは仕事探しのテストのため、でも単にもう少し遊ぶために、またどうぞアクセスしてくださいとお願いしています」。

カーチスは、将来その分野が、自分自身についてもっと知るための心理測定テストを求める人々にとって、よりありふれたものになると予測した。

そして、ロールシャッハの10のスライドについてはどうか?

「今、私たちはそれをはるか超えたところに来ています」と、カーチスは述べた。

この記事はハフポスト・オーストラリア版に掲載されたものを翻訳しました。

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