フロッピーからカセットテープまで 2015年でも現役なレトロテクノロジーとは

すっかり昔の技術になったと思われていながら、いまだに生産され世界中で使われ続けている商品は意外と多い。今さら信じられないような昔の技術が使われて、しかも人々の役に立っている5つの例を、ここに紹介しよう。

ソニーは先日、ベータマックスのビデオテープの製造を近く終了する予定だと発表した。1975年、VHSテープの登場で事態が混沌とする前年に発売されて、大成功を収めた製品だ。このニュースに対して、多くの人が同じような感想を抱いたようだ。

「え、まだ作っていたんだ?」

もうすっかり昔の技術になったと思われていながら、いまだに生産され世界中で使われ続けている商品は意外と多い。それも、懐古趣味だけが理由ではない。今さら信じられないような昔の技術が使われて、しかも人々の役に立っている5つの例を、ここに紹介しよう。

フロッピーディスク(アメリカ政府お墨付き)

あなたが最後にフロッピーディスクを触ったのは1990年代だろうが、ホワイトハウスでは現役だ。この1月にニューヨークタイムズ紙が明らかにした。

オバマ大統領の技術顧問を務めるミーガン・J・スミス氏によると、政府は1960年代に登場した記録メディアである「フロッピーディスクを一部だが活用している」そうだ。

もっとも、普通に使っているというほどでもなさそうだ。スミス氏は後にオンラインメディア「バッスル」に、実際に使われている現場は一度も見ていない、と語っている。

フロッピーディスクは、ワイオミング州にあるアメリカ空軍の核ミサイル施設でも使われている。CBCの番組「60ミニッツ」が、この施設内に地上配備されている核ミサイルが、8インチ型のフロッピーディスクで動く旧型のコンピューターによって操作されていることを明らかにした。

投票用装置

アメリカ国内でいまだに使われている投票用装置の中にも恐ろしく古いものがある。eBayで予備用部品をかき集めて何とか使っているそうだ。先日、「デイリーショー」で紹介されていた。

この古めかしい装置には70万円以上もの原価がかかると推定され、しょっちゅう故障するので投票場にはいつも長い列ができる。そのため人々は選挙に行きたがらなくなるほどだ、と特派員のロニー・キエン氏が解説していた。

この10年間で議会は各州の投票用装置を新型に置き換えるために20億ドルもの予算を認めてきた。その一方で、インドで使われている便利な投票用装置は書類カバンほどの大きさでたったの175ドルだと、キエン氏は指摘した。

「この大統領選の間、ばかげた広告や選挙活動には何十億ドルものお金が使われているというのに…」とキエン氏は嘆く。

カセットテープ

CDに次いでmp3プレーヤーの時代がやって来ても、依然としてレコード盤が人気を保ち続けているのは誰もが知っている。でも、音楽用カセットテープの売り上げを伸ばしている会社があるといったら、驚きだろう。

音楽用カセットテープの製造業者としては世界最大で、いまだに製造を続けている数少ない会社の一つ、ミズーリ州スプリングフィールドにあるナショナルオーディオ社 (NAC) は、ブルームバーグ・ビジネス誌に、今年は弊社の当たり年となったと話した。

「今、弊社は創業以来もっともオーディオカセットの生産量が多くなりました。2015年は記念すべき年になるでしょう」とNAC社長のスティーブ・ステップ氏がこの9月にブルームバーグ・ビジネス誌に語ったのだ。

「インディー系のバンドがこぞって、温かみのあるアナログの音の響きを求めたのが原因のようです。その動きは、今もどんどん広がっています」と、NAC社製造部門長のスージー・ブラウンが説明してくれた。

医療現場でのポケベル

ポケベルが携帯電話に取って代わられてもう影も形もない、と思っていたが、どっこい医療現場ではしっかりと役に立っているようだ。

医者や看護婦がこうしたデバイスを「すっかり習慣になって」なかなか手放さないわけだが、医療機関にとっては、病院の敷地や建物でスマートフォンを確実に使用できるようにするためのコストをとても賄いきれない、という事情があるようだ、と2013年にアナリストのロナルド・グルイアがフォーチュン誌に語った。

病院としては充電池の管理もできないし、スマートフォンのネットワークでは緊急時に問題が起こりやすくその場合に対応しきれない、という理由があると、ヴァイス誌は解説している。ポケベルは最も信頼のおけるコミュニケーション手段として、数々の危機に対応すべき医療のプロたちから認められているのだ。

日本のファックス機

アメリカではファックスは過去の遺産としてスミソニアン博物館に飾られている。だが、2013年のニューヨークタイムズ紙によると、日本では2012年の一年間でファックス機の売り上げが170万台に達した。ジャパンタイムズ紙によれば、2014年には120万台近くまで落ち込んだとのことだが、堂々、必需品としての地位を保っている。

「手書きのファックスで得られるような、どこか温かい人のぬくもりに、日本の文化はいまだに愛着を感じるのでしょう」とある日本の経営者はニューヨークタイムズ紙に語った。

2011年の調査によれば、ほとんどすべての会社の事務所と、個人の自宅のほぼ半数に、ファックス機が置かれていると、内閣府の担当官は同紙に語った。

イスラエルでもファックス機は普通の存在だと、エルサレム・ポスト紙がこの1月に伝えている。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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