フェンス越しに赤ちゃんを渡す男性。2015年8月28日セルビアとの国境に接するハンガリーのルスケ(Röszke)村で撮影。
2016年世界報道写真コンテスト最優秀賞作品が2月18日に発表された。選ばれたのはハンガリーとセルビアの国境を隔てる有刺鉄線越しに、男性が赤ちゃんを手渡しする写真だ。
撮影したのはフリーランスの写真家ウォーレン・リチャードソン氏で、作品のタイトルは「新しい生活への希望」。見る人に、難民危機の過酷な状況を強く訴える。
難民危機は、近年起こった最も悲惨な人的・政治的災害の一つだ。作品に写っているのは3人だけだが、彼らは2015年にヨーロッパに到着した100万人以上の難民や移民の苦難を象徴している。
2015年、シリアやイラク、アフガニスタンやエリトリアといった国を逃れた大勢の人たちが、トルコからギリシャを通る「バルカンルート」を使って北上し、ヨーロッパに助けを求めた。スウェーデンやドイツまで旅を続けた人たちも少なくない。
ハンガリーなどこのルートにあたる国々は、難民や移民の侵入を阻止するためにフェンスをつくった。こういった措置は、国境を越えようする難民と政府の間でいたちごっこを引き起こしたとリチャードソン氏は述べている。
2015年9月に世界中に衝撃を与えたシリア出身のアイラン・クルディ君(3歳)の溺死写真と同じように、リチャードソン氏の写真は、危機に巻き込まれる子供の悲劇を私たちに伝えている。難民の受け入れに反対してきた人々の多くは、ほとんどの移民や難民は男性だと主張する。しかし国連のデータによると、2016年に海を渡ってヨーロッパに到着した移民や難民の約34%が子供だ。
オランダのアムステルダムを拠点とする世界報道写真財団は様々な分野の素晴らしい写真を毎年表彰していて、2016年には、128カ国から82,951枚の写真が集まった。
最優秀賞以外の受賞作品も、強烈な印象を与える。
ハフポストUS版に掲載された記事を翻訳しました。
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