シロサイの亜種「キタシロサイ」が、このままでは絶滅する運命を辿りそうだ。最後のオスが死んだからだ。
ケニアのオルペジェタ自然保護区の公式サイトは3月20日、キタシロサイのオス「スーダン」が45歳で死んだことを声明で明らかにした。
スーダンは高齢に伴う合併症を患っていたが、急に病状が悪化し、立ち上がることもできなくなったため、獣医師チームが19日に安楽死させた。
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キタシロサイは現在、スーダンの娘と孫にあたるメスが2頭いるだけ。このままでは絶滅となるが、スーダンの精子は冷凍保存されており、近縁種のミナミシロサイを代理母として体外受精ができないか研究を続けているという。
■「キタシロサイという種の偉大な象徴でした」
声明の中で、オルペジェタ自然保護区の最高責任者、リチャード・ビーン氏は以下のようにコメントしている。
「スーダンの死に、保護区の人間は打ちひしがれています。彼はキタシロサイという種の偉大な象徴でした。絶滅の危機に直面しているサイを含む何千種もの生物たちへの世界的な認識を高めたとして、彼の功績は記憶されるでしょう」
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■キタシロサイとは?
動物保護団体「SAVE THE RHINO」などによると、キタシロサイはかつてアフリカ大陸中部に広く生息したが、中国で漢方薬、イエメンで短剣のつかに利用するため、1970~80年代に角を目当てにしたサイの乱獲が続いたことで個体数が急減した。
さらに90年代後半からは生息地のコンゴ民主共和国(旧ザイール)で内戦が起きた結果、保護活動が頓挫し、2008年までに野生種は絶滅したと考えられている。
チェコの動物園に残っていたオスとメス2頭ずつをオルペジェタ自然保護区に移し、最後の繁殖を試みていた。オス1頭が2014年に死んだため、最後のオスがスーダンだった。
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