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2018年04月08日 10時49分 JST | 更新 2018年04月08日 10時49分 JST

子供の預け先に苦労する「小1の壁」、親はどう向き合っているのか

小学生の居場所は、どこにある?

Getty Images/ABSODELS RF
ABSODELS RF

進入学の季節。小学生になると、放課後や長い休み中の居場所をどうするか、壁に直面する。保育園は長期休みもなく一日中、子どもたちが楽しく過ごせて働く親も安心できた。保育園の延長として、特に低学年のうちは学童保育を希望する家庭は多い。

小学校入学後、子どもを預けることが困難になる、いわゆる「小1の壁」とその後について、都内の家庭の例を紹介する。

■ 宿題は自主性に任される

Aさんの長女は、小学1年生の4月1日から公立の学童に通っている。長女は学童が大好き。親が仕事の日は夜7時まで。学童近くで習い事がある日は5時に帰る。5時、5時半、6時は学童から近くの坂の上や坂の下まで、学童の先生が送ってくれる。

「児童館併設でなくて、学童単体でビルのフロアを使っていて、ICチップで管理され入退室メールが来るので安心ですよ」

学校がある日は学童に着いて30分くらいが、ゆっくりタイム。その時間に学校の宿題をしたり、読書をしたり。長女はそこで宿題を済ませて来るので助かる。だが強制でないので、新1年生の長男が宿題をしてくるかはわからないという。

何も企画がない日もあるが、お菓子作りや工作、一輪車、コマクラブ、ダンスクラブなどがある。春休みと夏休みには遠足もあり、盛りだくさんだ。

■ 大けがもあるが「対応早く安心」

任意の保険は毎年、加入する。「長女が1年生の時は、顔をざっくり切り形成外科に通院。2年生の時は室内で転んで救急車で運ばれ、何針か縫いました。ケガはあるけれど、すぐ対処してくれるので心配ないです」と寛容なAさん。

長女は幼稚園だったため、入学前の春休みに10数万円も預ける費用がかかった。公立の学童は月に2000円なので、6年生まで利用したいそうだ。「1年ごとの更新で、入れることを願うばかり。3年生になるにあたり、近くの学童に落ちたお友達もいます。空きのある学童に申し込めば、どこかは入れますが......。フルタイムで働くシングルマザーのお子さんは民間学童と並行して利用するようです」

 

■ 保護者会がおやつを担当

Bさんの長女は、2年生まで学校の隣にある児童館併設の学童保育に通った。栄養バランスのいい手作りの昼食やおやつがあった保育園とは違い、学童で給食は出ない。特に夏休みのお弁当は、働く親を悩ませる。Bさんは長女が1年生の時は、保護者が企画したお弁当注文の仕組みを利用したり、パンを買って持たせたりした。

2年生になってからは長女の希望で、おにぎりや焼きそば、パスタ、そぼろご飯など簡単なお弁当を作った。日ごろのおやつは、年会費を集めて保護者会のメンバーが用意し、ケーキで誕生日お祝いもする。

 

■ 遊びのメニューも豊富

遊びのメニューも豊富で、夏休みは小学校のプールにみんなで行き、バスで出かける。水遊びをしたり、蝉の孵化を見に行ったり。ふだんも午後3時以降は自由遊びの時間で、メンコや手品、映画鑑賞など企画があり、週に1度は外部の先生がダンスを教えに来てくれる。

当時、Bさんは大企業の管理職で、延長して夜7時半まで利用。下の子たちが通う保育園に迎えに行ってから、学童に長女を迎えに行った。午後6時に学童の先生が自宅の方面まで見送るので、長女が2年生になると1人で帰宅。留守番してテレビを見ていたという。

■ 3年生からはクラブ活動

3年生になる時は、学童には申し込まなかった。学校のクラブ活動が週3回、午後5時ごろまであり、参加するように。コーチと保護者の数人がサポート。クラブ以外の日は、学校内にある「放課後の居場所」に行く。ここは親の就労に関わらず利用できるが、子どもの入退室が自由で学童より管理はゆるい。自由行動の日や、児童館のバンドレッスンに参加する日もある。

長女は「5時には家に帰る」というルールを守り、家で宿題をしている。この春は次女も小学生。1年生のうちは学童に、2年生になったら長女と同じクラブ活動に参加させようと思っている。長女は小2の後半、「管理されるのが嫌」と言って学童に行きたがらなかった。おやつを持たせて、友達の家に遊びに行っていた。

Bさんはこう話す。「1年生の間は、保育園の延長で安心して過ごせる場が必要。学校で疲れ果てた体を癒して、宿題ぐらいはやる。勉強をさせてもらいたいとか期待はせずに、そんな場だと思っています」

■ 並行利用の民間学童でプログラミング

Cさんの長女は、3年生まで公立の学童に通った。高学年は学校内の「居場所」に少し通ったが、女の子同士の人間関係が難しく行かなくなった。それから放課後に少しずつ習い事を入れ、自分で鍵を持つように。同じマンションに仲の良い子がいたので、互いに行き来して過ごした。

長男は春から小学生。今年は公立の学童に入れたが、週2回は民間の学童に通うことにした。そこでは英語やプログラミングを習えて、学校の近くから送迎もあるという。「来年以降、公立の学童に入れるかわからないので、今のうちに確保しておきたくて」とCさん。

■ 保活のトラウマ、4歳時に民間学童を予約

民間の学童だけに決めた人もいる。Dさんは長男が保育園の4歳クラスにいた1月、民間学童の説明会に行って年会費を払い、入会した。実際に利用するまでの間、有料で親子クッキングやいちご狩りがあった。

なぜ、そんな早くに予約したのだろうか。「保活のトラウマなんです」とDさん。「保育園を探す活動に出遅れ、予約をしたものの数十人待ちの状況にハラハラしました。結果的には民間の認可保育園に入れましたが、学童は早めに申し込もうと。お昼ご飯は、ケータリングを利用できるのも魅力でした」

■ 民間は月に10万円 学童利用しないきょうだいも

Dさんは英語の教育も受けさせたかった。その民間学童のオプションで週に3回、ネイティブの先生に英語を習う。車での送迎があり、夜7時まで利用できる。

ただ費用は高額だ。週5日で月に10万円ぐらいかかる。「ずっと利用するわけではありません。小学校に慣れるのに大変な1年生の夏休みまでは、週5で。夏休みを越せたらそこは週3に減らして、残りは学校内にある『居場所』を利用します」(Dさん)

他に、「放課後はきょうだいで過ごすから、学童には申し込まなかった」「上の子が学校内の『居場所』に通っている。下の子が入学したら一緒に帰ればいい」という話も聞いた。低学年でも1人で出歩ける子は、子ども用の携帯を持って塾に行ったり、自分で帰宅したりするそうだ。

■ 保育園と同等の審査・手続き

我が家も公立の学童に申し込み、初めての体験におののいた。希望したら入れると思っていたので、認可保育園の申し込み書類と同等の文書が必要と知り、焦った。夫の勤務証明を会社で作成してもらい、私自身の文筆業についても書類に。書いた記事や振り込みの通帳コピー、通っている大学院の証明書も用意した。

保育園に入る際は、夫婦ともフルタイム勤務で残業があり、夫が単身赴任中だったため加点があって入れた。会社から独立後、保育園の継続手続きは煩雑だったものの特に指摘されなかった。

仕事の結果は記事として見えるし、各媒体の支払い調書があって確定申告しているからやましい点はない。だが申請時に行き違いがあった。利用する学童は、自治体が民間企業に運営を委託している。委託先に書類を提出して面接した後、何回も電話がかかってきて質問された。取材や執筆はいつするのか、夜や休日も仕事があるのかなど。

私のミスもあった。取材が多いので「外勤」の書類にするところを、自宅がオフィスなので「内勤」の書類で出してしまった。また会社に20年勤めた経歴などは、書く欄がなかった。仕事の量や質がわかりにくく、最初はフルタイム勤務同等の仕事として見てもらえなかったようだ。

■ 落とされたら友達と離れ離れ...不安に

親にとっても小学校や学童は未知の世界。神経質になっていた私は、一連のやり取りに落ち込んでしまった。最近は保育園に入る際にも「フリーランスを差別しないように」という動きがある中、学童は違うのか。この学童に入れなかったら、娘だけ保育園の友達と離れ離れ? 距離のある他の学童にどうやって通う? 最終的に審査するのは自治体なのだが、心がざわざわした。

これも初めて知ったことで、学童の申し込み書類には「1年生は加点が5」とある。3年生になると加点は1。同じ保育園の父親にも「3年生は夫婦フルタイム勤務でも、よほどの事情がない限り入れない」と言われて驚いた。

■「2年生も入れない」に愕然

結果的には、娘は希望した公立の学童に入れた。保育園とほぼ同じ時間帯で利用できる学童は、身内に手助けを頼めない我が家は特に、ありがたい。でも子どもたちは1日の途中で学校から学童へ移らなければならず、保育園と違って周囲の大人も変わり、お昼寝もない。朝早くから夜まで、初めてづくしの生活はチャレンジだろう。

親も最初は修業かもしれない。高齢初産した私は、子育ての「初めて」に出会うたびおののいている。学童に入れない、ワンオペ、きょうだいが多いなどもっと大変な家庭もある中で軟弱なのだが、ルールについていくので精いっぱいだ。お弁当や着替えを持たせ、利用の手続きに先生とのコミュニケーション。迎えは、子どものケアは、と構えている。

さらに入所前の面接で、新たな事実がわかり衝撃を受けた。学童の先生にお弁当の保冷材は必要か、連絡の方法など細かいことを聞き、人数の話になった。先生が申し訳なさそうに「2年生は少ないんです」という。1年生限りで、安心できる場がなくなるなんて。

後編は、学童保育の成り立ちや課題について、専門家の話を紹介する。

なかのかおり ジャーナリスト Twitter @kaoritanuki

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