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2018年06月09日 17時17分 JST | 更新 2018年06月09日 21時03分 JST

銭湯で開催された“ゆる〜い”クラブイベント「湯WIRE18」に潜入してみた。

雰囲気はゆるいけど、音楽はガチ。不思議な空間でした

「湯WIRE18」で演奏する主催者の「Yebisu303」さん
Kenji Ando
「湯WIRE18」で演奏する主催者の「Yebisu303」さん

都内の蒲田駅から10分ほど歩いた住宅街の一角。昭和の風情を残す街並みに、ひっそりとその銭湯はあった。創業81年の「蒲田温泉」だ。肌がサラサラになると言われる真っ黒なお湯で有名だ。

この銭湯の2階にある宴会場で5月26日、クラブイベントが開かれた。その名は「湯WIRE18」。かつて電気グルーヴの石野卓球が主催していたテクノフェスティバル「WIRE」をもじった名前のようだ。

以前は横浜市北区内の綱島温泉で開いていたが、新駅の工事で休業したため会場を変更。3年ぶり5回目の開催となった。

Kenji Ando
「蒲田温泉」の入口

お座敷上でのイベントなので、音楽を聴きながら座っててもいいし、寝転がっていい。ノリノリの音楽に踊り疲れたら、銭湯で一風呂浴びてリフレッシュするのも自由。2014年に「6時間座れないイベントに疲れてきた、そんなあなたに」と企画された、ゆる〜いイベントだ。

昔ながらの宴会場にセットが組まれ、約150人の聴衆が集まった。正午から午後8時まで、8時間のぶっ通しで、アシッドテクノのライブから、アニメソングのDJまで多種多様なジャンルの音楽がかけられて、フロアを盛り上げていた。来場者はおしゃべりをしたり、飲み食いするなどカジュアルな雰囲気だった。

■「まったりダラダラとした雰囲気がいい」

Kenji Ando
「うしわか」さんのDJに合わせて踊る人々

会場の声を拾ってみると、意外なことにみんな気軽に答えてくれた。

青森県から3時間かけて来たという40代男性は、「銭湯でやるクラブイベントって面白そうだなと、以前から気になっていました。ゆるい空間でガチな音が流れていて不思議な感じです」と話す。

埼玉県に住む20代の夫妻にも話を聞けた。2人とも綱島温泉時代から湯WIREのリピーターだという。

夫は「まったりダラダラとした雰囲気がいい。ちゃんと聴いていてもいいし、聴かなくてもいい。強制される感じがない。好きなタイミングで温泉に入れるし」と振り返った。

妻も「男性が多めだけど、女性が混じっても違和感ないし、座れる。クラブ系のイベントにありがちな怖いイメージがないので、一人で来ても楽しめそう」と満足げだった。

Kenji Ando
gokkiさんのMC

途中休憩して、銭湯に入る。水深5センチですら、何も見えないほどの真っ黒なお湯はいかにも効きそうだが、なかなか熱い。汗がだくだくになった。浴室を見渡すと湯WIRE参加者の姿は意外と少なく、地元の人で賑わっていた。

風呂を出て、ソフトクリームを食べながら涼んでいると、本家WIREの真っ赤なTシャツを着た女性と雑談することになった。埼玉県在住の高校生だという。

「初参加です。電気グルーヴや平沢進さんの音楽、クラブ系の音楽が好きなので、友達と一緒に来ました。本家のWIREをすごくゆるい感じで再現したというのがとてもいいですね!」

 

■主催者「いい意味で何が起こるか分からない」

Kenji Ando
トリを務めたサトウヤスオさんのライブ風景

まったりと始まったイベントだったが、午後5時を回ってShisotexさんのDJが始まったあたりから、不思議なテンションに会場は包まれていく。電子音楽をバックに、仮面ライダーシリーズのテーマソングがかかると、会場の数人が一斉に歌い出した。

宴会場のスタッフが「塩焼きそば」を作りすぎたときに、てっきり誰かが注文したものと勘違いした参加者たちが、ビートに合わせて「塩焼きそば!」「塩焼きそば!」とコールするという奇妙な出来事もあったという。

トリを務めたサトウヤスオさんのライブではノリは最高潮に、サトウさんを囲んでみんなで声を上げながら両手を挙げて踊り狂っていた。

ライブ演奏で初参加した「Mitaka Sound」のホソダさんは演奏後、満足した様子で次のように話していた。

「前回までは客として来ていました。いつか出演したいと思っていたので、念願かなってうれしいです。客として楽しむ側はゆったりした雰囲気ではあるものの、今回、実際に演奏する側になってみて真剣勝負だなと思いました。緊張はしましたが、ほぼ想定通りにできてよかったです」

8時間に及ぶイベントを終え、主催の「Yebisu303」さんはこう語った。

「会場で演奏されたり、DJがプレイしたりする音楽ジャンルはテクノ・ハウスからFUNKOT(インドネシア発祥のダンス・ミュージック)、はてはアニソンまでと幅広く、一見するとバラバラではあります。

でもお客さん含め、好きな音楽を共有したいという意味では同じ方向を向いているんですよね。そういう熱量を持ったいろんな界隈の人達が集まって、新しい繋がりや流れが生まれたなら、幹事としてこんなに嬉しいことは無いです。

次回の開催はまだ未定ですが、これからもいい意味で何が起こるか分からない、そんな一風変わった宴会をやっていきたいですね」


湯WIRE18
「湯WIRE18」のフライヤー

(イラスト担当:くまみねさん=公式サイトTwitterアカウントTシャツ販売ページ LINEスタンプ

銭湯でクラブイベントを楽しむのは「アタラシイ時間」だ。

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