東北新幹線、6時間近く全線不通 鳥衝突が停電の原因か
17日午後1時56分ごろ、宮城県内の仙台―古川間を走行中の下りの東北新幹線で一時的な停電が起き、非常ブレーキが作動した。列車は立ち往生が続き、乗客約800人は上り線路を使って横付けされた救援用車両に乗り移り、約3時間後に仙台駅に戻った。この影響で東北、秋田、山形各新幹線は6時間近くにわたって全線が上下線ともストップ。午後7時40分ごろに運転再開した後も、ダイヤの乱れが続いた。
JR東日本によると、停電が起きたのは、東京発新函館北斗・秋田行き「はやぶさ・こまち21号」(17両編成)。電気はすぐに復旧したが、自動的に作動した非常ブレーキが緩まない状態が続いたため、運転を再開できなかったという。
同社が車両を点検したところ、車体屋根のパンタグラフ下部に何かがぶつかってショートした痕跡があり、これが停電の原因になったとみられる。また、停電が起きた場所付近では、鳥の死骸が見つかった。
この事故により、上越、北陸新幹線を含め計25本が運休したほか、154本に遅れが出て、計約15万人に影響したという。
はやぶさ21号に乗っていた青森県むつ市の男性(75)によると、仙台駅を出てまもなく列車が止まり、「電気系統の故障のため、緊急停車しました」「点検のため停電します」とアナウンスが流れた。「車内が暗かったので不安だった。みんな静かに待っていた」。仙台駅に戻った後、臨時列車に乗り込んだ男性は「午後一番に帰ろうと思ったのに」と疲れた様子だった。
東京駅の改札周辺でも運転再開を待つ人が集まり、午後7時ごろには払い戻しを求める人たちが150メートルほどの列を作った。改札前に座り込む人たちもいた。
宮城県気仙沼市の菅原洋一さん(61)は小学生10人を連れ、都内で開かれた8人制サッカー大会に参加。「子どもたちは学校がある」と、夜に地元に戻る予定だった。「運転再開してくれるのが一番ありがたいが、払い戻してバスで戻るか」と迷ったが、宿泊先が見つかったため、東京に1泊することにしたという。
発車予定の案内表示が午後8時前に動き出すと、午後5時ごろから運転再開を待っていた山形市の会社員吉村正樹さん(54)は「よかった。なんとか帰れそうです」とほっとした様子。おいの結婚式のため上京し、夜に戻る予定だったが、一度は「出勤できないかも」と同僚にメールをした。「仕事には行けそうですね。家に着くのは何時になるかな」と話していた。
山形駅でも、みどりの窓口の前に数十人の長い列ができた。午後8時ごろには、改札口前に「順次運転を再開しております」と書かれたホワイトボードが置かれ、切符を手に駅員に運転状況を聞く乗客の姿が見られた。
東京都豊島区から友人を訪ねて山形に来ていた男性会社員(25)は、「午後5時半ごろ駅に来て、動いていないと初めて知った。明日は仕事のため、何としても帰らないといけない」とやきもきした表情。東京都世田谷区の会社員斎藤夏奈さん(33)は、0歳と3歳の子ども連れ。かみのやま温泉駅まで行ったところで新幹線が止まり、「今日帰るのは諦めて、山形まで戻ってきました」と疲れた顔で話した。(細沢礼輝、窪小谷菜月、古城博隆)
(朝日新聞デジタル 2018年06月18日 00時50分)