無数のイカをメリゴーラウンドのようにくるくると回して乾かす通称「イカ干し機」。全国の港の風物詩だ。
しかし、鹿児島県の甑島(こしきしま)列島にあるイカ干し機は他所とは、ひと味違う。
古今東西の名著を刊行する「平凡社ライブラリー」の担当者が、旅先で撮影した動画に注目が集まっている。
イカたちの中心で回転するパネルの両面には、なぜか国民的な人気を誇る2大ヒーローの姿が......。彼らは、獲物を狙うカラスが寄りつかないように威嚇してるかのようだ。
この動画は7月14日に投稿されてからわずか3日間で、10万回以上も再生された。
「たくさんの人に甑島のことを知って欲しい」
ハフポスト日本版は、この動画を投稿した平凡社ライブラリーの営業Sさんに取材した。以下はそのやり取りだ。
--- いつどこで撮影された動画でしょうか?
7月14日に中甑島の平良という集落で撮影しました。この平良の住人の方が、時化で漁に出れないようなときに趣味で手作りしているようです。この他にも、集落のなかにはあちこちにこうした手作りの看板が立ち並んでいました。
--- 甑島には何をしに行かれたのですか?
鹿の子百合(カノコユリ)を見に行くために、プライベートな旅行で訪ねました。世界で唯一、野生種が群生するのが甑島だそうです。鹿の皮のような美しいまだら模様の百合でした。
--- このイカ干し機の動画を投稿された理由は?
甑島諸島は、日本で最も過疎化が進む地域の一つだそうです。このイカ干し機をきっかけにして、なんだか面白そうだし、甑島に行ってみよう、と、関心を持つ人々が増えればよいなと思いました。
隠れキリシタン殉教の地など悲しい歴史もありますが、エメラルドグリーンの海に囲まれて、島のあちこちに鹿の子百合が咲き誇る美しい島です。たくさんの人々に甑島のことを知って欲しいなと思っています。