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2019年01月05日 09時39分 JST | 更新 2019年01月09日 12時47分 JST

「同性婚」違憲訴訟 結婚の自由を求めて提訴する2人が、婚姻届を市役所へ提出

同性カップル10組が2月、全国一斉提訴へ。“2度目”の婚姻届にサインした2人の思いとは

川越市役所に婚姻届を提出しに来た相場謙治さん(左)と古積健さん(44)
Huffpost japan/Shino Tanaka
川越市役所に婚姻届を提出しに来た相場謙治さん(左)と古積健さん(44)

年明け間もない1月4日の午後6時前。男性2人が川越市役所に入った。

手には茶色い紙を持つ。婚姻届だ。

古積健さん(44)と相場謙治さん(40)。2008年に友人の紹介で出会い、付き合って10年余り。

同性が好きだ、というだけで異性カップルと愛情は何ら変わりない。結婚したい、と思う気持ちも同じ。

市役所の窓口担当者は、婚姻届を預かり「不受理にする予定」と説明したという。理由は、同性婚については現行法制の規定では定められていないから。規定がないから、受理はできない。

異性同士のカップルであれば「おめでとうございます」と笑顔で受理されるシーン。

なぜ、同性同士だからといって、結婚の自由という当然の権利が侵害されるのか。

古積さんと相場さんを含めた10組の同性カップルは2月、国を提訴する。同性カップルに婚姻が認められないのは法の下の平等に反するなどと訴える、全国初の訴訟になる。

この届出によって後日受け取る不受理の証明書は、裁判の証拠として提出されることになる。

異性のカップルと同じように扱ってほしいだけ

Orbon Alija via Getty Images
Exchanging Rings at Wedding

LGBTを取り巻く環境は、少しずつ変わってきているものの、社会制度のほとんどは性を生まれたときに登録された戸籍上の性で自認し、異性を好きになることが基準でできている。

訴訟の準備を進める弁護団の担当弁護士は、「特権的な権利を付与してほしいのではない。平等に扱ってほしい。他の、異性のカップルと同じように扱ってほしいだけ」と力を込めた。

民間や自治体でのパートナーシップ制度が進むなか、国での法整備が進まない現状について、「セクシュアル・マイノリティは少数派。国会は多数決の原理で動く。なかなか少数者の声が法律の制定には難しい。少数者の人権を保障する、という点では厳格に判断されるべきであり、そういう主張をしていきたいと思う」と訴えた。

「不受理になる」と言われることは分かっていた。だが「結果を分かってはいながらも、重く感じました」と、市役所を出てきた相場さんは言った。

Huffpost japan/Shino Tanaka
相場謙治さん

古積さんは「不受理を受理にする戦いが、これから始まるんだなと思いました」。

訴訟を決意した理由については、「他のゲイカップル、レズビアンカップルで人前に立っているのは少ない。本当は声をあげたいのにできない人がいる。すでにカミングアウトしている自分たちにしかできないことがあるなら、力になりたい。色んな反応があると思うし、バッシングもあるかもしれない。でも誰かが動かないと、実態は動いていかない。盾になって進んでいけるなら役に立ちたい」と語った。

Huffpost japan/Shino Tanaka
古積健さん

夫、妻しかない婚姻届の記名欄

婚姻届に2人の名前を書く欄は、「夫になる人」「妻になる人」で分かれている。自分たちの名前を書くとき、2人は違和感を感じたという。

gyro via Getty Images
婚姻届

「自分たち2人とも女性ではなく、男性。どっちも夫。形式に則ればどちらかが妻となる。女性じゃないのに妻になるのは何か違うと思った」

だが今回、妻欄を夫と書き直すことはしなかった。不受理の理由が「夫・妻」を書き直したことによる「書式の不備」とならないようにするためだ。「できなかったが、直したかった」と古積さんは話した。

結果として、夫欄に古積さんが、妻欄には相場さんが記名した。

「認められていく」と実感した会社の制度。2人が結婚を意識するまで

結婚相手として、2人で名前を書いたのは初めてではない。

2012年には、相場さんの勤める会社で同性カップルも異性カップルと同じように結婚祝い金を支給する制度ができた。2人は名前を書いて判を押し、会社に結婚相手として伝えた。

この制度で、相場さん自身の考えが変わり始めた。

同性が好きだということで「結婚は縁遠いもの、できないもの」と決めつけて生きていた。

「意外とそうじゃないんだな。認められていく、ということがあるんだなと思った」

結婚式で記名した最初の「婚姻届」

同性でも結婚祝い金を支給する制度をきっかけに、結婚は現実的なものになっていった。

異性婚と同じく、両家の顔合わせをした。そして2013年11月には、都内の式場で結婚式を挙げた。最初は「同性カップルは受け付けていない」と式場に断られたが、交渉していくことで協力を得られた。

「私たちが行動することで、ちょっとずつ変わっていくことがあるのかもしれない」と相場さんは言う。

結婚式の誓いの言葉の署名用紙には、婚姻届を使った。「いつかこれが、日本で受理されたらいいね」と語り合った。いまもその婚姻届は、結婚式の思い出をしまう箱に保管している。

ただ、結婚式は明るい話題だけではなかった。めでたい場であるが「アウティングに繋がったり、ゲイであると疑われるかもしれないから、結婚式には行けない」と友人から参席を断られたこともあった。

2人の写真が飾られたウェディングボードを、別の式の参列者が「男同士で写ってんじゃん」と茶化して写真を撮ろうとしていたことも、後から知った。ホテルの従業員は「遊びじゃないんです。2人はまじめに結婚式を挙げているんです」と制止したという。

差別を「嫌がっている人がいると知ってもらえたら」 訴訟を通じて伝えたいこと

差別は根強い。

2018年末には、タレントのビートたけしさんがスポーツ選手を笑いのネタとして「ホモだろ」と差別用語を使って揶揄したり、年が明けて1月3日には、自民党の平沢勝栄衆院議員が「この人(LGBT)たちばっかりになったら国はつぶれちゃうんですよ」などと発言したと報道された

自民党・杉田水脈衆院議員がLGBTカップルは「生産性がない」と雑誌に寄稿し、批判が噴出したことも記憶に新しい。

こうした差別や偏見が残る現状について、相場さんは「差別ということを知らないだけ。嫌がっている人がいるということを知ってもらえたら、分かってくれるんじゃないか。だからこそ、訴訟を通じて少しでも多くの人に伝えていけたらと思う」と話した。