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2017年12月14日 13時21分 JST | 更新 2017年12月14日 13時21分 JST

開校初日、生徒が来ない!バングラデシュならではの背景とは…

生徒が来ないのでは何も始められません。

K.Furusawa

前回記事(リンク)では、入学生徒が決まり、登校日初日に至るまでを書きました。

学校開校日でもある登校初日、登校時間に生徒たちの様子を見に行くと......大半の生徒が登校していない状況でした(!!!)。この続きについて書いていきます。

登校初日......登校時間に生徒がいない!

K.Furusawa

登校時間である8:20に校舎前の広場に行くと、生徒が10名しか登校していませんでした。本来、入学生徒は70名いるはずなのに、生徒が来ていないとは......??

バングラデシュの子どもたちのために始めた学校ですが、生徒が来ないのでは何も始められません。

登校時間30分を過ぎてから、少しずつ生徒が遅れて登校してきましたが、それでもまだまだ足りません。事前に家庭環境を調査していたので、すぐに生徒の家一軒一軒に連絡をして事情を聞いたところ、大半の家では親も子どもも学校の登校日時を忘れていた、ということが判明しました(苦笑)。

結局、初日は全体の半分ほどの30数名が登校、うち大半が遅刻という結果に。ウキウキワクワクして迎えた初日は、私自身精神的に大きなダメージを受け、「現実はそんなに甘くない」と改めて実感しました。スタートでこの状況なので、今後、更なる信じがたいトラブルが次々に起こるのではないか......?

しかし、落胆している私を見て、帰り際に現地教員3名が私のところに来て、「2週間......いやっ、1週間で、70名全員を遅刻しないで登校させます。心配しないでください」と言ってくれて、心強く感じたと同時に、「ここで落胆している場合じゃない」と我に返り、あえて「この状況を楽しもう」とポジティブに気持ちを切り替えることができました。

「1週間で遅刻ゼロ」チャレンジ。果たして結果は?

K.Furusawa

2日目の朝のミーティングで、子どもたちに時間を守らせることを徹底しようと全教職員で話し合いました。ただ、注意事項として、遅刻した生徒を怒らないように、ということも何度も確認しました。

実は、バングラデシュでは規則を守らない生徒への暴力が日常茶飯事に行われています。それは現在でも続いており、私たちの学校でもたまに教員から「叩くぐらいのほうが生徒も言うことを聞くのでは。少しぐらい良いですか?」という声が挙がることもあります。

それがこの国では当たり前だとしても、私は子どもたちを力で支配するようなことは決してしたくありません。生徒が自ら理解し、自ら考えて判断し行動できるようになってほしいという想いがあり、そういった体罰や暴力は一切禁止しています。もしそうなってしまったのであれば、「生徒を言葉で理解させ掌握することができないのは、あなたにそのスキルがないからだ。もっと勉強しなさい」の一言です。

さて、話を戻します。2日目から全教職員で生徒の登校を出迎えます。もちろん私も、です。

遅刻せず登校できた生徒とは笑顔で元気よく挨拶を交わし、遅刻した生徒にはなぜ遅刻したのかを聞き、明日はどうすれば遅刻しないで登校できるか、一人ひとりとじっくり話をするようにしていきました。

3日経ち4日経ち、遅刻する生徒が日々減っていきます。

結果的に教員が宣言した通り、1週間も経たずして、生徒全員が遅刻・欠席をしなくなるようになりました! 全教職員で登校時間を徹底的に守らせることから始まったこの学校ですが、開校から5年経った今でも、学校全体でその雰囲気が維持されていて、無断遅刻・無断欠席者はほぼいません。

多くの生徒が遅刻してきた理由

K.Furusawa

日本人駐在員たちがよく揶揄して使いますが、この国には「バングラタイム」という言葉があります。バングラデシュ人がミーティング時間や仕事の期日など、時間を守らない、時間通りにうまくいかない時に使います。

バングラデシュでは交通機関の不便さや渋滞などの理由などで、時間通りにいかないことが多々あります。時間通りに進むことのほうが少ないぐらいです。私も予定時間から30分や1時間待たされてミーティングを始めたこともあります(苦笑)。

それだけ時間にルーズなこの国でも、まさか子どもたちまでも時間にルーズだとは思っていませんでした。

ただ、遅刻してくる生徒と話をしているうちに分かってきたことがあります。それは、彼らは「学校に遅れて来ることが悪いこと」だと一切思っていなかったのです。

というのも、うちの学校に来るまでにいた小学校では、遅れて登校しても何も咎められることもなく、それより教員たちが遅れてくることさえ当たり前の環境だったそうです。時間について何か言われたことがなかったため、学校に遅刻すること自体に一切悪気がなかったのです。

そういったことを教えてこなかった学校環境に、驚きと同時に心が痛みました。私たちが当然のように考えている時間の貴重さなどの価値観が、この国では大きく違っていたのです。

これが当たり前としてまかり通る状況が、子どもたちの将来にとって良いわけがありません。彼らのために時間について指導することが大切だと思い、徹底的に指導しました。

色々と例を挙げながら時間を守ることの大切さについて毎日話をしていくと、彼らは素直に受け入れ、すぐに実践してくれます。本当に素直な子どもたちで、思っていたよりもすぐに解決できました。

この時の私の日誌には、

「子どもたちができないのではなく、ただ単に大人が子どもに教えていないだけ。教えればなんでもできる素直な子どもたち。これから一つひとつ教えていこう」と綴ってあります。

本当に教育って奥が深く、大切なことだなと実感した出来事でしたね。

Ambassadorのプロフィール

K.Furusawa

K.Furusawa

宮城県仙台市出身。大学在学中はプロキックボクサーとして活躍。卒業後は日本の私学教員をやりながらタイ、カンボジア、ネパール、ミャンマーなどアジアの教育支援に携わる。その後、とある公益財団法人の仕事としてバングラデシュでモデル校となる学校建設・運営を任される。現在は生徒数約800名の学校をバングラデシュで運営中。