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2018年03月20日 16時40分 JST | 更新 2018年03月20日 16時47分 JST

【移住ストーリー】シンガポールからロンドンへ ~息子の難病「ドラべ症候群」との闘い~

難病を患っている息子にとって、よりサポーティブな環境に身を置きたかったからです。

TORU YAGI
屋外で息子と(長時間の外出は難しいので貴重なショットです)

2016年に日本からシンガポールに移住したToru Yagi です。

私の過去記事一覧(リンク)

シンガポールに移住したのは、当時シンガポールに住む、妊娠中のイギリス人の妻と結婚生活を営むためだったのですが、それから2年経った今、次はイギリスのロンドンに移住することに決めました。

シンガポールでの2年間は、結婚生活、息子の誕生という私生活のビッグイベントに加え、キャリア面でも初めての転職活動、ASEANでのマーケティング、外国人のマネジメント......と非常に貴重な経験を積ませてもらいました。

では、なぜ充実したシンガポール生活に終止符を打つことにしたのか。それは、難病を患っている息子にとって、よりサポーティブな環境に身を置きたかったからです。

ドラべ症候群

Toru Yagi

息子はドラべ症候群(別名:乳児重症ミオクロニーてんかん)という難治てんかんを抱えています。薬でコントロールしにくいタイプのてんかんで、発症率は4万人に1人といわれています。

シンガポールの医療レベルは決して低くなく(むしろアジアのトップレベル)、現在の主治医やセカンドオピニオンをもらっている先生方のお陰で、発作のコントロールも比較的うまくいっています。ただ、人口約550万人のシンガポールではドラべ症候群患者の数は限らており(自己調査でも10名ほど)、てんかんのコミュニティは組織されていても、ドラべ症候群に特化したコミュニティがないのが現状です。

現代医療では完治する方法がないため、患者さんご家族からの情報や最新の医療・研究情報が大事になってきますし、何より同じご経験をされているご家族とコミュニケーションをとるだけで、精神的にかなり救われます。

イギリスや日本にはドラべ症候群患者の家族のためのコミュニティがあり、ドラべ症候群のお子様をもつ親御さんが適宜、情報交換しながら、みんなでこの難病と闘っています。僕もオンラインベースになりますが、日本、イギリス、アメリカのドラべ症候群患者家族会に入会して、情報交換をさせてもらっています。

そういった意味で、患者数がある程度多く、その患者ご家族同士の情報交換が盛ん、そして、ドラべ症候群の専門医もいるイギリスへの移住を決断した次第です。

日本語が使えない妻のストレスを考え(そのストレスは息子にも伝染するだろうと考え)、日本でなくイギリスを選びました。もちろん、ロンドンには妻の実家があり、家族サポートを得ることができるのも大きな要因です。

イギリスのコミュニティ

Toru Yagi
入院中の息子と(平均すると毎月入院している感じです......)

イギリスのドラべ症候群に関するコミュニティで、自身が特に良いなと思った点を挙げます。

1.全世界からの情報が集まってくる

イギリスのドラべ症候群患者ご家族のコミュニティ「Dravet Syndrome UK」では、400名近いメンバーがオンライン、オフライン双方で積極的に情報交換・交流を図っています。

世界を見渡すと、最大のコミュニティ(自己調査ベース)はアメリカをベースとする「Dravet Syndrome Foundation」という非営利組織で、寄付を募りながらドラべ症候群に関する研究を推進しているのですが、「Dravet Syndrome UK」とも連携をとっていて、しっかりと情報共有がなされています。また、イギリス以外のヨーロッパの国々の情報も入ってきます。

英語という共通言語のお陰で、これら全世界からの情報がタイムリー入ってくるのは非常にありがたいです。

2.発作中の動画等、かなりプライベートな内容も共有されている

イギリスやアメリカの患者家族会のFacebook グループではほぼ毎日のように患者ご家族からの投稿があります。しかもその内容はかなりプライベートで、お子様の発達状況、使用している薬に対する感想(効果や副作用)、発作中の動画までもが頻繁に投稿されています。

自身の経験から、欧米人は日本人に比べ、オープンで感情を表に出しやすいと感じておりましたが、ことドラべ症候群のような難病の場合、そのオープンマインドがプラスに働くことが多い気がします。Facebook グループで共有されるプライベートな内容は、他の患者ご家族にとってはとても貴重な参考情報となり、ドラべ症候群に対する理解が更に深まるからです。

またドラべ症候群という存在自体を世間に発信していくことも、ドラべ症候群をはじめとする難治てんかん治療の研究が加速するためには必要なことだと感じています。

最後に

Toru Yagi
シンガポールでのFarewell Partyの様子

今回は、ドラべ症候群という難病の存在をひとりでも多くの方に知ってもらい、ドラべ症候群をはじめとする難治てんかんに関する研究が更に進み、一日でも早く治療方法が確立して欲しい、という気持ちをこめて記事にしてみました。

最後に、日本からシンガポールへの移住とシンガポールからロンドンへの移住に際して、心境の変化があったので、記しておきます。

日本からシンガポールに移住した際は、生活や仕事をどうしていけば良いのかという不安しかなかったのですが、今回、イギリス移住を決めた際は、不思議なくらい不安な気持ちはありませんでした。理由が息子のためということで迷う余地がなかったのと、シンガポール移住を通して、「日本以外でもやっていける」という自信がついたのだと思います。

これから僕自身どうなるか分かりませんが(笑)、一度日本からの移住を経験すると移住障壁が低くなり、世界がどんどん広がっていくので、やっぱりアブローダーズ的生き方はおすすめです。

Ambassadorのプロフィール

Toru Yagi

ToruYagi

1981年東京都出身。慶應義塾大学卒業後、日系大手メーカーで営業&企画を経験後、シンガポールでMBA社費留学。留学後は、同社にて国内のマーケティング職に従事するも、留学中の同級生だったイギリス人女性(イギリスとタイのハーフ)との結婚&妻の妊娠を機に、約12年間勤めた会社を退職して、シンガポールに移住。夢は、日本を再び世界で輝かせること。そのためには、「日本企業の異文化コミュニケーション能力を上げて、外国企業とのあいだでシナジーを生み出す必要がある」というのが信条。

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