減量効果の思いがけない代償「低炭水化物ダイエット」の落とし穴

低炭水化物ダイエットは体重の減量に良いと言われていますが、健康に悪影響は無いのでしょうか。ノルウェーの研究チームが健康への影響を検証しました。
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白米や麺類、パンといった炭水化物を控えるという方法で知られる低炭水化物ダイエット。体重の減量に良いと言われていますが、健康に与える影響は無いのでしょうか。今回、ノルウェーの研究チームが低炭水化物食の健康に与える影響を検証しました。

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◆11の研究1,369人について分析

研究チームは過去の11件の研究論文をまとめ、合計1,369人を対象にしたデータを統合しました。食事療法を半年以上継続している人について、低炭水化物食を摂取する群と低脂肪食を摂取する群に分け統計解析を行いました。

◆低炭水化物食は健康に良い?

調査により次のような結果が得られました。

低脂肪食の参加者と比較し低炭水化物食の参加者に、体重のより大きな減少を認め(加重平均の差 -2.17kg;95%信頼区間-3.36~-0.99kg)[....]、LDLコレステロール値は上昇(加重平均の差0.16mmol/l;95%信頼区間0.003~0.33)した。

低炭水化物食の継続により、低脂肪食よりも体重減量効果はあるが、悪玉コレステロールの値は上昇するという結果でした。

肥満が食事制限で改善できることは魅力的かもしれません。しかしながら、炭水化物はタンパク質や脂質と並び、3大栄養素の一つであり、健康的な生活を送るうえでとても大切な働きがあります。一方、コレステロールの状態を良好に保つことは、心臓病や脳卒中の予防には大切だとも言われていますので、低炭水化物食を取り入れる場合には注意が必要かもしれません。

悪玉コレステロールが高いことによって引き起こされる様々な病気について、より詳しい情報をまとめたこちらのページもあわせてご覧ください。▶▶脂質異常症(高脂血症)

Written by TORU KOKUBO

◆参照文献

Effects of low-carbohydrate diets v. low-fat diets on body weight and cardiovascular risk factors: a meta-analysis of randomised controlled trials.Br J Nutr. 2016 Feb.

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炭水化物が不足しているときの5つの兆候
口臭がある。(01 of05)
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低炭水化物ダイエットの目的は、もちろん炭水化物の代わりに体内に蓄積された余分な脂肪を消費することである。専門家の殆どは、この方法は長期間の減量には繋がらないという意見で合意している。体が脂肪を燃やす時に、体内はケトンという物質を放出するケトーシスという工程で脂肪を燃焼する。ケトンは残念ながらあまり好ましくない臭いを持っている。そして、そのケトンはしばしば息からも放出されてしまうのである。低炭水化物ダイエットをする人にとって悪いニュースとは、口臭は口内衛生の問題ではないということである。つまり、「歯磨きや、フロッシングや、舌をこすったりしても多分十分な解決策にはならないということです」と、口内外科Kenneth Burrell博士はWebMDサイト上で述べている。 (credit:Gettystock)
運動量が減少してくる。(02 of05)
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活発に動く人が炭水化物に不足すると、人体は筋肉を形成するためなどに必要な筋肉の機能のためにたんぱく質を使うように切り替えられる。このため、炭水化物は別名、「たんぱく質の倹約」と呼ばれる。燃焼された炭水化物を運動の後に補充することは、早く回復をする手助けになる。明日の運動に備えているということである。\n (credit:Gettystock)
少しぼんやりする。(03 of05)
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体と同じように、脳も炭水化物を頼りにしている。グルコースに分解された炭水化物はエネルギーになる。そして脳に必要なグルコースが不足すると、最良の状態で機能できなくなる可能性がある。2008年に発表された小規模な研究では、低炭水化物ダイエットをしている女性は、栄養のバランスの良い低カロリーダイエットをしている女性に比較して、数回行われた記憶力のテストの成績が低かった結果がみられた。低炭水化物ダイエットの女性が、また炭水化物を摂り始めたら? 彼女達の脳は、直ちに正常に戻るだろう。 (credit:Gettystock)
機嫌が悪くなる。(04 of05)
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低炭水化物プランに従っている人々から、減量は効果を見せているが、イライラする、ストレスを感じる、そして疲労気味であるという報告を常に耳にする。U.S. News紙によると、可能性として考えられるひとつの要因は、セロトニンという物質をつくるために必須な炭水化物が不足しているためかもしれないということである。このセロトニンは、脳において精神を安定させる働きを助ける。 2009年の研究にあるように、低脂肪ダイエットに比べて、低炭水化物ダイエットはつまらないというだけかも知れない。この研究は、低炭水化物ダイエット、もしくは低脂肪ダイエットを行っている106名の肥満、または太り気味の人々を対象に1年間にわたって行われたものである。ダイエットを続けることができた人々に限っては、両方のグループ共々において減量に成功した。低炭水化物ダイエットの人々は徐々に気分が不安定になった一方、低脂肪ダイエットの人々は、気分がよくなったと報告している。Health.comによる情報である。研究者は、この結果について、好きなものを思いきり好きなだけ食べることはいけないと言われ、脂肪分、カロリーの高い少量の食事をること自体に不機嫌になるのではないかとも推測している。\n (credit:Gettystock)
便秘症である。(05 of05)
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「まず最初にあらゆるダイエットによる新陳代謝の変化が表れるのは、消化管です」と、WebMDサイト上で述べているのは、ウィスコンシン小児病院に勤務しているStephen Sondike医学博士である。大体の場合は、この変化は便秘という形ではっきりと表れてくる。おそらくこれは、低炭水化物ダイエットをする人が、穀類の摂取を削減することによって、繊維質を摂り損ねている傾向があるからであろう。繊維質に富んだ野菜類を摂るようにするとよいだろう。 (credit:Gettystock)