築150年の自宅を全面改築しました。

古い建築物を箱として守り続け、中を現代仕様にアップデートしていくのが、ロンドンの人の住み方です。

今年3月末に2軒目の自宅改装を終え、ロンドンに来てから7回目の引っ越しをしたのですが、ようやく写真をウェブサイト上で公開しました。1870年頃建てられた築150年のヴィクトリア時代の家を50%ほど増築し中も全面改築したものです。

イギリスは景観保護のための建築規制が厳しく(*1)不動産売買のほとんどを中古物件が占めます。ロンドンは早くから発展した都市なのでいまだに建築物の半分以上が第二次大戦前に建てられたものです。特に大英帝国が絶頂期を迎え、人口が急増したヴィクトリア時代にはロンドンの中心部にはもう土地がなかったので郊外が住宅地として開発されました。私たちが住む南西ロンドン、テムズ河沿いのエリアもその頃に開発されたエリアで、古い資料をあたるとどういう順番でエリアが開発され、それぞれの種類の住宅にどんな人たちが住んでいたのか、いろいろ発見できます(*2)。そんな風に古い建築物を箱として守り続け、中を現代仕様にアップデートしていくのが、こちらの人の住み方です。

*1・・・参照:『ロンドンと摩天楼』

*2・・・下が私たちのエリアの1896年の地図。まだまばらにしか家が建っていないことがわかります。右下コーナーを切るように走っているのが鉄道で鉄道の伸張と共に周辺に町ができていきました。

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そんなわけで築150年の古民家の改装は珍しくも何ともないのですが、時間のある時に改めてプロセスなどご紹介したいと思います。今日はビフォー・アフターのさわりだけ。

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これが、通りから見た外観。今の家はセミ・デタッチドハウスと呼ばれる建物1軒で真ん中の壁で住居が左右に分かれて2世帯になっているタイプ。私たちの通りは保護地区ではないのですが、基本的に通りから見た外観は変えられないので改築前も後も外観は変わりません。通りから見えない後ろ側(庭側)に1階を増築、屋根裏のスペースに3階をつくり、さらに3階にもう1室確保する、という工事でした(要建築許可)。保護地区(*3)だと自宅敷地内の木を1本切るのも住む自治体の許可が必要になります。

*3・・・参照:『The Restoration Man』

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これが1階の奥側半分のビフォー。イギリスの家はテラスハウス(長屋)もそうなのですが、入り口から奥(庭側)にかけて細長い家が多いのですが、この家もそうです。部屋の中心で大きく遮っている壁は1870年代のオリジナルの家の外壁。つまり私たちの前のオーナーは増築でスペースを延床したかったものの、構造鉄筋を入れる予算がなかったのでしょう。この構造壁を取らずに増築したので、部屋の真ん中にどでかい壁があり非常に使いにくくなっています。とりわけ21世紀に入ってから常識となっているファミリースペース(リビング・ダイニング・キッチン・子どもの遊び場を一体とした大きな間取り)のトレンドとは真逆で、イギリスではこのような再工事を要する間取りは売値に響きます。私たちは元々リノベ用物件を探していたので(というか不動産の高いロンドンではリノベ用物件しか手が出ない)、再工事をする前提で前のオーナーと交渉し購入しています。

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こちらは上記写真のアフター。結局、写真で見えていた部分は2階にあった部屋含め取り壊し、基礎工事からやり直して床暖房を入れました。庭側には上のビフォー写真にある小さなドアしかなくほとんど使うことがなかったのですが(小さい子どもは親の目の届かないところには長時間いないので)、全面的にスチールとガラス製のドアにしたことで庭も家の延長部分のように使えるようになりました。

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こちらは庭側から家を見たビフォー。ひとつ前のビフォー写真では見えませんが、改築前はキッチンの奥にさらにバスルームがあり、写っているのはシャワーとトイレについている小窓です。家の中から庭が全く見えませんし、庭から家の中の様子も全く見えません。庭は数十年来の植物が生い茂って足の踏み場もない状態でした。

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こちらがアフター。庭は南向きなので光がたっぷり入ります。イギリスの細長い家は全ての部屋に天然光を入れるのになかなか苦労するのです。

1階の増築部分のさわりだけでしたが、私はこういうリノベーション工事の設計・デザインを仕事にしています。ウェブサイト(英語)で各エリアのビフォー・アフターを公開しています こちら

また、昨日、7月に取材・撮影に来て頂き、出来上がりを楽しみにしていたR.S.V.P誌が手元に届きました。先日イギリスの雑誌も撮影に来たのですが、出版されたのは日本の方が先です。

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今は雑誌も売れなくて大変な時代になったと聞くのですが、このR.S.V.P誌、全ページフルカラーで全ての記事がきちんと取材・撮りおろしされてて(見た感じの想像です)、ものすごく丁寧に作られてるのがわかります。

新宅編集長、ライターのSachikoさん、フォトグラファーのYayoiさん、ありがとうございました!