スマホ依存、大人の克服法は? 子供から「スマホばっかり見てる」といわれないために

移動中やちょっとした待ち時間などに無意識のうちにスマホを開いてしまっていて、自分でもちょっとうんざり気味という人、意外と多いのではないだろうか。
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RUNSTUDIO via Getty Images

移動中やちょっとした待ち時間などに無意識のうちにスマホを開いてしまっていて、自分でもちょっとうんざり気味という人、意外と多いのではないだろうか。家族で過ごしている時間にも、夫や妻がやたらとスマホを使っていて、子供が話していることにも上の空。逆に、親が子供から「ごはんのときは、携帯見ちゃだめだよ」と注意されたという声も耳にする。

大人のプチ・スマホ依存を克服するために日頃から気をつけるべきことを、2005年からネット依存予防のための啓蒙活動を行っているエンジェルアイズの遠藤美季(写真)さんに聞いた。

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■大人のネット依存、家庭の危機になるケース

「大人のスマホ依存についても考えなければ、子供のスマホ依存の解決策は見つからない」という遠藤さん。しかし最近では、自分自身がスマホ依存ぎみであることに気づいていない大人も多いという。

「以前はネット依存といえば、オンラインゲームが多かったのですが、最近、相談が寄せられる案件では動画サイトやSNSも増えてきています。SNSの中でも、自分がリア充であることをアピールするために書き込む人や、『いいね!』をもらうことにこだわる人、友達のエントリーに必ずコメントをしてしまう人など、ハマり方はワンパターンではありません。現実の世界で、そんなに簡単には得られない自己肯定感が、ネット上では簡単に得られるように感じられて、ハマっていく人が多いのではないでしょうか」

誰しも人から認められたいという欲求を持っているが、現実の世界で承認を得ることはそう簡単なことではない。最近はSNS上で友達に反応してもらうことで、簡単に認められた気持ちになり、ネット上の人間関係のほうが楽だと感じて、ネットに依存する人達が大人にも子供にも増えているという。遠藤さんがこれまで見てきた中には、スマホが広く普及する前から、大人のネット依存によって、家庭崩壊に至るというケースもあるという。

「長いこと一緒に暮らしている夫婦の場合、おのずと会話も少なくなってきてしまいますよね。たとえば、ある男性が、ある女性とネット上で知り合ったとします。妻とは必要最低限の会話しかしない男性に、女性が毎日『今日もお疲れさま。仕事どうだった? 大変だったね』と、チャットやSNSなどで優しいメッセージが届く。文字だけのやりとりは、自分の都合のいいように解釈できてしまうので、相手はそれほど深い意味があって書いたことでなくても、その相手にどんどんのめり込んでいってしまうことがあるようです。

「今までにも、夫が帰宅後何時間もネット上の女性とやり取りするようになり、離婚を考えているという相談はよくありました。もちろん、妻がオンライン上の男性とのやりとりするケースもあります。たとえ実際に会うことはなくても、ネット上の関係だけで離婚に至ることもあるんです」

■大人のネット依存、オフラインだけでなく会話が必要

遠藤さんは「もっと早い段階から夫婦間でコミュニケーションが取れていて、お互い思いやりを持って接していれば、離婚には至らないのではないか」という。ネット依存を防ぐためには、家族や周りの人間との“会話”や“信頼”が重要なのだ。

「ネット断食やデジタル・デトックスなどの方法が注目されていますが、原因はもっと心の深いところにあり、ただネットにつながらない環境に身を置くだけでは解決できないと思います。例えば、パートナーがオンラインゲームに夢中になるという相談もよく聞きますが、そうなってしまった背景には、会話の少なさや居心地の悪さ、寂しさ、理解し合えない……などのような、ちょっとした不満の蓄積があります。それは日常的にコミュニケーションを取ることで防げるものもあった可能性もあります」

家庭や仕事の場など、リアルな生活で人と繋がっていれば、ネット依存には陥りにくいのだ。では、そうならないために工夫すべきこととは何か。

「家庭の場合、夫や妻とあまり会話をしていないなと感じたら、何か工夫してみるだけでも効果があります。例えば、今までに作ったことの無い料理を作ってみるとか、日曜の朝にスムージーを作ってみるとか。そんなちょっとしたイベントから新たな会話が生まれて、相手を思いやる気持ちも伝わります」

「また、普段あまりパートナーの話を聞いてあげられない人は、休日にじっくり話を聞いてあげるだけでもいいですね。夫婦で共有できる話題を見つけたり、同じ目標や将来のビジョンを見つけて、同じ方向に向かって歩んでいくことで解決することも多いと思います」

■父親の存在感が薄い家庭は、子供のネット依存度が高い!?

また遠藤さんによれば、父親の存在感が薄い家庭の子どもは、ネットへの依存度が高い傾向にあるといわれているという。そういった意味でも普段から家族がコミュニケーションを取り合い、父親が子供にとっての大事な存在だとの認識を持ち、お互いを敬い合うことが大切だといえる。

「食事のときにはスマホを開かない」や「休日のスマホの使用は緊急連絡だけにする」など、家族みんなで守れるルールを作ることも有効な方法だという。

また、もし自分自身が頻繁にスマホを開いてしまうことにうんざりしてしまっているなら、自分自身のルールを作ってみてもいいそう。

「目的があるとき以外は『スマホは開かない』とか、『日曜に外出するときは、スマホは置いていく』などのルールを決めている人もいます。使い過ぎていたら指摘してもらえるように家族にお願いしておくのもいいですね」

「また『人目を意識する』というのも有効です。電車の中でずっとスマホを見ていると、どうしても猫背になってしまい、あまりかっこいいものではないですよね。それに、スマホに夢中になりすぎて、お年寄りに気づかず席を譲れなかったり、乗り過ごして慌てて人にぶつかりながら飛び降りたり、歩きスマホで人に迷惑をかけたり……。あらためて、自分が人の目にどう写っているかを客観的に考えてみるといいかもしれません」

■子供の教育と合わせて、大人の意識も変えることが大切

「最近は子供のほうが、教育が浸透してきたことによってスマホを使う時間を制限しようという意識が高まっています。逆に大人の場合、あまり深刻に捉えない人も多く、気づいたら深刻な依存に陥っている人もいます。子供への教育と合わせて、大人の意識も変えていくことが大切なのではないでしょうか」

「ネット依存は、子供だけの問題とするのではなく、大人や社会全体の問題として考えることで、スマホ依存しにくい環境をつくることができるのではないかと思います」

特に目的も無くスマホを開いているうちに、あっという間に移動の1時間が過ぎてしまい、もったいない時間の過ごし方をしたと後悔する人も多いはずだ。そんなことを減らすためには、ルールを決めて使用することを意識してみるといいだろう。

(相馬由子)

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子供とコンピューター
March 2013: Teens and Technology(01 of22)
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Source: Pew Research Center\n要旨:「10代の95%以上は常にオンライン上に存在する(2006年以降一貫して)。ただし、その間、10代のインターネット利用は劇的に変化した。彼らはPCやノートPCを持ってるのと同じぐらい、スマートフォンを持つようになった。そして、今後益々スマートフォンは利用されていくだろう。場合によっては、インターネットへのアクセスはスマートフォンからの利用がメインになるだろう。」\n (credit:Shutterstock)
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Source: Huffington Post (to read the actual study, visit Pediatrics -- subscription required)\n要旨: 「Christakis博士は新たな発見をした。それは子どもたちが何をどれだけ観るかではなく、どんなものを観るかを改善することに時間と力を注げば成長によい影響を与えるということ。たとえ3歳児であったとしてもそれは有効だ。」 (credit:Alamy)
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Source: Common Sense Media\n要旨:「メディアによる暴力、長期的な研究はその「因果関係」についての議論を可能にした。しかしその一方でもっと有意義なのは、それが暴力の「原因」というよりもむしろ「危険因子」であると考えることであろうーー子どもたちの暴力的な行為を誘発する要素の一つとしての。」 (credit:Alamy)
January 2013: Screen Time Not Linked To Kids' Physical Activity(04 of22)
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Source: Reuters (to read the actual study, visit JAMA Pediatrics -- log-in required)\n要旨: 「研究者たちは言う。テレビやPCの前で過ごす「スクリーンタイム」の長さと運動不足の問題は子どもの親と学校が個別に対応すべき問題とは分けて議論されるべきであると。」 (credit:Alamy)
December 2012: How Families Interact on Facebook (05 of22)
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Source: Facebook\n要旨:「私たちはフェイスブック上で親子だろうと思われる記事(匿名で自動的に投稿されたもの)やコメントを調査した。それらが友人たちとの会話の仕方とどのように違うのかを確かめるために。」 (credit:Alamy)
November 2012: Parents, Teens, and Online Privacy (06 of22)
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Source: Pew Research Center\n要旨: 「大多数の13歳以上の子供の親は、自分の子供たちがオンラインで行っていることや、行った行動が他者にどのようにモニターされているかについて心配している。子供のオンラインの履歴を監視・点検したり、議論するために対策を講じ始めた親もいる」\n\n (credit:Shutterstock)
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Source: C.S. Mott Children\'s Hospital National Poll on Children\'s Health\n要旨: 「この世論調査では、成人のほぼ3人中2人がCOPPA(チルドレンズ・オンライン・プライバシー・プロテクション)の最新の提言を支持している。これには、子供を対象としたアプリにユーザーが13歳以上であることを確認させること、13歳未満のユーザーの個人情報収集禁止などが含まれている」 (credit:Alamy)
November 2012: The Online Generation Gap(08 of22)
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Source: Family Online Safety Institute\n要旨: 「子供のオンライン上での自らの安全性への懸念は、親が考えている以上に親の懸念に近いものであり、多くの子供は自分の個人情報保護に対策を講じていることがこれらの調査に示されている。それにもかかわらず、親は子供のオンライン上での行動について自分で考えているほどには理解しておらず、中には見知らぬ他人に個人情報を提供するリスクを冒している子供もいる、ということが示されている」 (credit:Shutterstock)
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Source: Common Sense Media\n要旨: 「米国の教師(キャリアの長いベテラン/ハイテクに通じた若い教師、経済的に豊かな人向の学校/低所得者の学校、公立/私立、小学校/高校等の違いにかかわらず)は比較的一致した懸念を表明している。学生は集中力の持続時間、文書作成、直接のコミュニケーションに問題がある。経験の長い教師は、子供たちのメディア利用がこの問題の原因となっているとしている。肯定的な面では、若者はメディア利用能力に長けることで情報を早く見つけることができ、より効率的に複数の作業を行える、としている」 (credit:Shutterstock)
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Source: Pew Research Center\n要旨: 「AP(アドバンスト・プレースメント)とNWP(ナショナル・ライティング・プロジェクト)の3/4の教師は、インターネットや電子的検索ツールは学生の調査の習慣に対して、『大抵は有益な』影響を与えているとしている。しかし87%の教師は、これらのテクノロジーは『注意力持続時間の短い、気が散りやすい世代』を作り出している、としており、64%の教師は、デジタルテクノロジーは学生を学問的に援助する以上に気を散らせる働きをしている、としている」\n (credit:Shutterstock)
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Source: Common Sense Media\n要旨: 「13歳以上の子供の4人中3人は自分のソーシャルネットワーキングサイトを所有しており、2人に1人は毎日自分のサイトを訪れている。しかし、我々のソーシャルメディアへの懸念にもかかわらず、非常に多くの場合、これらのメディアは子供の生活に大きな混乱を与えてはいない」 (credit:Shutterstock)
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Source: Pew Research Center\n要旨: 「子供が扱う携帯メールの量は、携帯メールを利用する十代の子供の中央値で、2009年の1日50メールから60メールに増加している。携帯電話と固定電話での友達とのおしゃべりの頻度は減少している。しかし最も多く友達とメールをする子供は、同時に最も多く友達と電話でおしゃべりをする子供だ」 (credit:Alamy)
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Source: Pediatrics\n要旨:「一般的にまたは常に、活動的なテレビゲームで遊ぶ子供は活動的でないテレビゲームで遊ぶ子供より活動的であるという根拠はない」\n (credit:Alamy)
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Source: Pew Research Center\n要旨:「米国において13歳以上の子供の生活にソーシャルメディアが浸透する中で、新たな調査の結果は、ソーシャルネットワークサイトを利用する子供の69%はサイトの中で友達はお互いに思いやりのある行動をとる、としている。だがこれらの子供のうち、サイトの中で他人に対して意地悪・残酷な態度を取る人を見たことがある子供が88%、意地悪・残酷な行動の標的になった経験のある子供が15%いるとしている」 (credit:Shutterstock)
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Source: Pediatrics\n要旨: 「育児環境が自宅の子供のうちの70%、施設の子供の36%が毎日テレビを見ていることが明らかとなった。より重要なことに、幼児および小児がテレビを見る時間は、育児が自宅の子供は2~3時間、施設の子供は~1.5時間だ」 (credit:Alamy)
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Source: Pediatrics\n要旨:「今回の最新の方針は、メディア(見ているもの、見ていないものの両者)は2歳未満の子供に対して潜在的に負の効果を持ちはっきりした有益な効果はない、という更なる根拠を示している。このため、AAP(米国小児科学会)はこの年代の子供にメディア利用を控えさせる推奨を再確認している。この声明は小さな子供が部屋にいる際には、大人のためにテレビをつけておくことも控えるように推奨している」 (credit:Alamy)
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Source: Common Sense Media\n要旨: 「生後9ヵ月の子供がテレビまたはDVDを見る時間は1日約1時間、5歳の子供は親のiPhoneで遊びたいとねだり、7歳の子供はゲーム、宿題、またはお気に入りのバーチャル世界での自分のアバターの様子を確認するために1週間に数回コンピューターを利用している。テレビは依然人気があるが、読書の傾向は下降し始めている可能性がある。子供の生活におけるメディアの役割を正確に理解することは、子供が健康的に発達することに関心を寄せる以下のような全ての人たちにとって不可欠なことだ。親、教育者、小児科医、公衆衛生の推奨者、政治家等、枚挙に暇がない」 (credit:Shutterstock)
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Source: The Huffington Post\n要旨: 「小児や十代の子供における携帯電話の電磁波と脳の悪性腫瘍との因果関係を評価する最初の研究に用いられた方法と結論について、専門家は深刻な懸念を抱いている。彼らが述べるところによると、この研究は欠陥があるだけでなく、携帯電話業界より資金援助を受けていた」 (credit:Alamy)
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Source: Pediatrics\n要旨: 「性別、年齢、家庭の収入、思春期、客観的に測定された身体活動や活動しない時間にかかわらず、テレビやコンピューターに多くの時間を費やすことは、より多くの精神的障害に関連していることがこの研究により明らかになった」 (credit:Alamy)
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Source: Pediatrics\n要旨:「テレビを見ることとテレビゲームで遊ぶことは、その後の子供時代における注意力障害の増加に関連している。テレビ、テレビゲーム、注意力障害に関する同様の関連は、後期青年期および初期成人期にも存在するようだ」 (credit:Alamy)
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Source: Pew Research Center\n要旨: 「携帯メールをする13歳以上の子供の2/3もが、友人と話すよりもメールをするために携帯電話を使用することが多いようだと言っている」\n (credit:Alamy)
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Source: Kaiser Family Foundation\n要旨: 「現在、8~18歳の子供は普段1日平均7時間38分(1週間に53時間以上)娯楽メディアを利用している。また、その時間の多くを『メディアのマルチタスキング:複数のメディアの同時使用』を行っているため、実際は7時間半の中に10時間45分に相当するメディアコンテンツを詰め込んでいる」 (credit:Shutterstock)